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⽇本の財政から投資の必要性が⾒えてくる⑦ 〜骨抜きとなった⽇本の財政法〜
2018/07/11

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概要
  • 1947年に定められた⽇本の財政法は第四条で⾚字国債の発⾏を、第五条で⽇銀による国債引き受けを禁止しています。
  • 1975年に特例公債法が成⽴し、初の⾚字国債が発⾏されましたが、近年では⾚字国債の発⾏が常態化し、現⾦償還の原則が破られ、2012年には4年間有効な改正特例公債法が成⽴しました。



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「財政法」の制定

1946年(昭和21年)11月に交付された⽇本国憲法の⺠主的性格を反映した財政法が1947年(昭和22年)3月に成⽴しました。この財政法では、財政の健全性の原則を確⽴するため、第四条で、公債や借⼊⾦を財源として賄うべき経費を公共事業等生産的又は資本的なものに限定しています。また、第五条では、公債発⾏について⽇本銀⾏が直接引き受けると財政インフレに繋がる恐れがあることから、⽇本銀⾏の公債引受けを原則禁止としています。


日本の財政法

出所:各種発表・報道、法律条文を元にピクテ・ジャパン作成

特例公債法と⾚字国債発⾏の常態化

1975年、税収不⾜の財源を調達するため、特例公債法が成⽴し、初めての⾚字国債発⾏となりました。その後、1991年から1993年まで、⾚字国債依存体制から脱却した時期がありましたが、今⽇まで、⽇本の財政は⾚字国債依存体質は継続しており、国債の発⾏額は、国内総生産(GDP)の概ね2倍となっている状態です。当初は、財政の健全性の確保から⾚字国債発⾏に⻭止装置が必要との観点で、現⾦償還ルールと特例公債法は単年度法とすることとなっていました。現⾦償還ルールとは、⾚字国債については満期が到来するまでに全額償還し、借換償還は⾏わないという定めでしたが、1984年の特例公債法で、「償還のための起債は、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り⾏わないよう務めるものとする」という努⼒規定に変更され、この時点から、現⾦償還から借換償還へと変更になりました。また、単年度法としていた特例公債法も、2015年度まで⾚字国債が発⾏できる改正特例公債法が2012年に成⽴し、単年度毎に⾚字国債発⾏限度について国会で審議するという⻭止めも失うことになりました。さらに16年には、5年間の延長を認める法案が成立しました。このように、⾚字国債発⾏の⻭止装置が破壊され骨抜き状態となり、2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の⿊字化は断念し、政府が2018年6月に公表した「経済財政運営と改革の基本方針2018」原案で、2025年度にプライマリーバランスの⿊字化を目指すと先延ばしとなっています。財務省も⾃ら「主要先進国の中で、⽇本財政は最悪の⽔準にある」と述べており、経済・財政⼀体改革の推進に加え、⾦融⾯における⽇銀の異次元緩和による安定的な物価上昇率2%の実現による実質的な債務削減が必要な状況にあると考えます。


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