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- ⽇本の財政から投資の必要性が⾒えてくる⑧ 〜まとめ「やはり、投資は必要」〜
- 「投信新世代」のための基礎知識Vol.32〜Vol.38を通じて、⽇本の財政から投資の必要性を⾒てきました。
- このシリーズの最終回として、全体を整理し、投資の必要性を再確認しましょう。
⽇本政府の財政収支
⼀般会計と全特別会計の歳⼊・歳出の総額から、重複計上額及び国債の借換額を除いた純計ベースで⾒た国の財政規模は、2017年度当初予算では、歳出が240.5兆円、歳⼊が240.2兆円となっています。歳出純計のうち、国債費が90.3兆円、社会保障関係費が88.3兆円とそれぞれ約4割となっており、また、歳⼊純計のうち、公債⾦及び借⼊⾦は96.2兆円と、歳⼊における国債依存度が⾼⽌まりしている状態です。
赤字国債の常態化
1975年、税収不足の財源を調達するため、特例公債法が成⽴し、初めての⾚字国債発⾏となりました。その後、1991年から1993年まで、⼀時的に⾚字国債依存体制から脱却した時期がありましたが、その後再開・常態化し、今⽇まで⽇本の財政は⾚字国債依存体質は継続しており、2017年12⽉末で、国の借⾦(国債+借⼊⾦+政府保証債)は、1,085兆円となっています。
政府債務削減方法
足元の⽇本のGDP(国内総生産)に対する政府負債⽐率は200%を超えていますが、過去はどうだったのでしょうか。過去の歴史を振返ると積み上がった国の借⾦を減らすためにいくつかの⽅法がとられました。①増税、政府の支出削減などによる債務削減、②インフレによる債務(価値の)削減、③経済の名目成⻑が債務拡大を上回る、④デフォルト(債務不履⾏)、ヘアカット(債務減免)などがありました。第二次世界大戦で莫大な借⾦を抱えることになった⽇本は、戦後、焦⼟と化して極端な物資不足になりました。それを起因に物価が上昇し、更に復興のために紙幣を増発したことから、復⾦(復興⾦融公庫債)インフレと呼ばれる物価上昇が加速しました。⽇本の物価は戦後3年半で約100倍となり、GDP⽐政府債務⽐率は大きく低下し、国債の元利払いの軽減は、戦後復興に繋がるものとなりました。政府・⽇本銀⾏が2%インフレを標榜するのは、⽇本政府にインフレのインセンティブが働いているという側面もあると考えられるのではないでしょうか。
インフレ時代はお⾦の借り⼿が有利
インフレは、モノの値段が上がり、お⾦の価値が下がる現象です。⼀⽅、借⾦の額はインフレになっても変わりません。例えば、インフレで1個100円の消しゴムが、1個10,000円になっても、100万円の借⾦は100万円のままです。したがって、インフレの時代は借⾦は目減りし、政府の借⾦も実質目減りすることになります。また、政府はインフレにより大きな税収増効果も期待できます。例えば、1個100円の消しゴムの消費税は税率8%で8円です。インフレで消しゴム1個が10,000円になれば、8%の税率のままでも税収は800円になります。
お⾦の価値を守るための投資
「⾦利が低くても、少なくとも元本が減るわけではないのだから、預⾦で⼗分ではないか」と考える⽅もいらっしゃいます。その「元本」とは「お⾦の額面」のことでしょうか、それとも「お⾦の価値」でしょうか。お⾦の価値は、モノやサービスとの交換⽐率、つまりモノやサービスの値段によって変わります。モノの値段が変わるということは、裏返せば、モノを⼿に⼊れる対価としての「お⾦の価値」も変わるということです。⽇本は実質成⻑率が低い状態で、毎年2%のインフレを目指しています。「お⾦の額面」を重視するだけでは、モノを買う⼒を維持できません。投資は「お⾦を増やすために⾏うもの」でありますが、それと同時に、「お⾦の価値を減らさないために必要なもの」でもあるのです。
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