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なぜ資産運用には投資信託がオススメなのか?
森永 康平
2019/12/25

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概要

今年の6月に金融庁が発表した『高齢社会における資産形成・管理』という報告書の中で、95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円の老後資産が不足するという試算が示されました。これまでは老後生活は年金だけで生活できると思っていた方も多かったようで、本件はネット上で炎上するだけでなく、実際にデモも行われるようになり、結果として報告書自体がなかったものとして処理されてしまいましたが、これにより証券会社の口座開設数が急増するなど、これまでは投資に縁のなかった日本人が投資を意識するいい機会にはなったようです。



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投資をすれば絶対に儲かる?

投資に興味を持ったとしても、これまで投資に縁のなかった多くの日本人にとっては何から始めればいいのか、全く見当もつかないのでしょう。今年の夏ごろから筆者も多くの投資未経者から相談を受けます。投資を始めるうえでいくつも重要なことはありますが、必ず伝えていることは「投資をしたからといって、絶対に儲かる訳ではない」ということです。

こういうことを言うと、とても驚かれます。将来に備えて資産運用しましょう、というかたちで投資を促されている訳ですから、貯金しているよりは投資をする方がお金が増えるような印象を持つのかもしれません。

しかし、よく考えれば「投資をしたからといって、絶対に儲かる訳ではない」ということは当然なのです。そもそも投資が絶対に儲かるものなのであれば、私たちの年金を運用している機関(年金積立金管理運用独立行政法人 / GPIF)が運用で年金の原資を増やしてくれて、私たちの老後資金も年金だけで賄われるわけです。実際はそんな美味しい話はないので、冒頭のように老後資金が年金だけじゃ足りませんよ、ということになっているのです。

投資を始めたいけど、どうすればいいの?

それでは、投資を始めるにはどうすればよいのでしょうか。投資をしても儲かるか分からないと言われると、「やっぱり、やめようかな」となってしまうかもしれません。しかし、3つのポイントを押さえれば、リスクを抑えて投資をすることはできると思います。


1つ目のポイントは「長期」という視点で投資を捉えることです。初めて投資をすると、どうしても目先の値動きに気持ちが動いてしまうものですが、数日後や数か月後にいくらになっているかではなく、20年後にいくらになっているか、というような長期スパンで考えていきましょう。20代や30代といった現役世代かつ資産形成層が老後資金を作るために投資をするというのは、まさにこの長期的な視点に立った投資になります。


株価は常に上下に変動しています。そして、時には上昇傾向が数ヶ月続くこともあれば、リーマンショックのような世界的な金融危機が起きると、短期間で急落することもあります。目先の値動きだけを気にしてしまうと、これらの株価の値動きに一喜一憂することになりますが、20年スパンなどで投資を考えると、たいていの株価の動きは気にならなくなります。


2つ目のポイントは「分散」です。仮に投資資金を1社の株式に投資した場合、その会社が倒産したら投資資金が全てなくなってしまいます。つまり、その企業と一蓮托生になるということです。それは、あまりにも危険です。そこで、例えば5社の株式に投資資金を20%ずつ投資したとしましょう。そうすれば、仮にそのうちの1社が倒産したとしても、投資資金の80%には影響がなくなります。


いま投資先の会社を増やす例を挙げましたが、よりリスクを抑えるためには「資産の種類」や「地域・国」なども分散することが望ましいとされています。つまり、国内株式、外国株式(先進国、新興国)、国内債券、外国債券(先進国、新興国)、コモディティ(原油や金など)、不動産(REIT)などに幅広く投資するということです。


3つ目のポイントは「積み立て」です。誰にも将来を正確に予測することはできません。今日投資するより、明日投資した方が有利な価格で投資できるかもしれませんし、その逆になる可能性もあります。少しでも安く投資して、高く売り抜けることが理想ですが、そんなことは誰にもできません。そこで、変に自分の感覚でタイミングを取って投資するのではなく、機械的に決まったタイミングで決まった金額を投資し続けることを積立投資といいます。たとえば、月末に5万円を投資すると決めたら、どんな相場環境になったとしても、そのルールを徹底して守るということです。

手軽に投資をするなら投資信託

3つのポイントを紹介しましたが、手軽に3つのポイントを実現するには、投資信託を活用することをお勧めします。特に2つ目の「分散」という点では投資信託に勝る金融商品はありません。仮に自分で国内外の株式や債券に投資をしようとすると、面倒なだけではなく、相当な金額が手元にないと分散投資はできません。しかし、投資信託であれば、証券会社によれば100円から投資が可能なため、非常にリーズナブルに分散投資が可能になります。


また、国が「貯蓄から投資へ」を掲げて投資に関する税制面での優遇制度の設計を進めていますので、投資を始める際はそのような制度を活用することも検討しましょう。たとえば、一般NISA(少額投資非課税制度)という制度があります。通常、投資で得た利益に対しては、20.315%の税金がかかります。つまり、100万円の利益が出た場合は、約20万円は税金として支払わなくてはいけないため、実際には約80万円が利益として手元に入ってきます。しかし、一般NISAの枠の中で投資した場合は、利益がいくら発生しても非課税となります。もちろん、一般NISAには年間の投資上限額が120万円と制限がありますが、これから投資を始めようと思っている方には十分な金額でしょう。毎月10万円を積み立て投資するのは多くの資産形成層にはハードルが高いと思いますので、投資未経験者には十分な非課税枠と考えられます。


これまで投資に縁がなかった日本人にとっては、依然として投資に対して過度な恐怖を抱く方もいるかもしれませんが、人生100年時代となるなかで、自身の老後資産は自分で作らないといけない環境になってきています。投資信託と制度をうまく活用し、手軽に効率的な投資ライフを送りましょう。


森永 康平
株式会社マネネCEO
経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。
業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。
​著書に『親子ゼニ問答』(角川新書)
日本証券アナリスト協会検定会員。


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