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マーケットの経験則で見た2020年の相場?
2019/12/30

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概要

マーケットには、「なぜそう動くのかはわからないけれども、よく当たっているかもしれない」とされる経験則があります。これを「アノマリー」と呼んでいます。たとえば、米国では大統領選挙の前年の株式市場が好調や、日本では毎年4月に株式市場が上昇しやすい(4月効果、新年度相場)などがそれにあたります。様々なアノマリーを知っておくことは投資判断を行う上で有益と考えられます。今回は2020年のマーケットを予想する上で、2つのアノマリーについての事例をご紹介します。



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米国の大統領選挙と株式市場

2020年は米国の大統領選挙が行われる年です。金融市場の最大の注目イベントと言っても良いでしょう。米大統領選挙と株式市場にはどのような関係があるのか、過去のデータを用いて検証を行います。
米大統領選挙にまつわるアノマリーとしては、前出の「大統領選挙の前年の株式市場が好調」が挙げられます。実際、1960年以降の米国株式の推移を見ると、NYダウ平均およびS&P500種指数ともに15回中14回上昇し、平均騰落率はそれぞれ+16%、+17%となっています(2019年含む。12月24日現在。以下同様)。

それでは大統領選挙の年はどうだったのでしょうか。同様の期間で検証するとNYダウ平均は15回中11回、S&P500種指数は15回中12回の上昇でした。平均騰落率はそれぞれ+5%、+7%と、大統領選挙の前年よりも低下したものの、おおむね堅調であったことがわかります。

大統領選挙のサイクルとNYダウ平均の騰落率

1960年~2019年(2019年は12月24日現在)

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

また、大統領選挙で政党が変わると、選挙の年と翌年で株価の騰落が逆転する傾向があるようです。2020年の米国株が好調である中、政党が変わると翌2021年は要注意ということになります。いずれにしても、トランプ大統領が再選を果たすのか、民主党が4年ぶりに政権を奪還するのか、株式市場と併せてその動向が注目されます。

西暦末尾に「0」のつく年の株式市場

次に、西暦末尾の数字に関してマーケットを見ていきましょう。西暦の末尾に「7」のつく年は相場が荒れると、というアノマリーがあります。実際、1987年にはNY株式市場の大暴落(ブラックマンデー)、1997年にはアジア通貨危機、2007年にはサブプライムローン問題がありました。

それでは2020年の「0」がつく年はどうなのでしょうか。1960年以降の日米株価の推移を見ると、「0」のつく年の騰落率はNYダウ平均で+2%(6回中3回上昇)、日経平均株価で-4%(6回中4回下落)となりました。前年の「9」のつく年が例年おおむね好調であるため、その反動が「0」年にでてしまうのかもしれません。特に、日経平均株価は、西暦末尾の騰落率の中で「0」がつく年が最下位となっています。1989年の過去最高値の反動で90年の日経平均株価は大きく落ち込み、2000年はITバブルの崩壊でやはり株価は下落しました。2010年は欧州債務問題など海外の要因ではあるものの、日本株式にもマイナスの影響を受けました。

西暦末尾別の日経平均株価の騰落率

1960年~2019年(2019年は12月24日現在)

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

このように過去においては末尾「0」の年は日本株には厳しい年でありました。しかし、裏を返せば絶好の買い場ともいえる年だったのではないでしょうか。なぜならば、末尾0の年の下落を境に、翌年以降は相場が堅調だったからです。

もちろん、アノマリーは、「これまでそのように相場が動いた」という経験則ですので、理論的な根拠を持つ訳ではなく、必ずその通りになるというものではありません。ただ、こうした経験則を参考にしている投資家もいるため、投資家心理を通じマーケットを動かしてしまうこともあります。ただの経験則か、されど経験則か。投資をする際のひとつの参考材料としてみてはいかがでしょうか。


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