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自分のことは信用ならない〜サブスクのプレッシャー〜
スミ マサノリ
2020/03/11

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その言葉、いつから普通に使われるようになったの? という言葉の中に「サブスクリプクション」がある。初めてNetflixやApple Musicに登録した頃は、そんな呼び方をされていなかった。知らない間にサブスクリプションということになっていて、「サブスク」と略されたりもしている。昔からの友達みたいな顔をして馴れ馴れしく肩を組んでくるけど、ちょっと待ってくれ。こっちはそっちの事をよく知らない。そもそも、サブスクリプションって何なのよ? ウィキペディアを引いてみた。

“サブスクリプション方式(サブスクリプションほうしき)はビジネスモデルの1つ。利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式。”
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

1回読んだだけでは、ちょっと何を言っているのか分からない。モノの利用権を借りる、とはどういうことなのか。NHKの受信料はサブスクに含まれるのか? 毎月の新聞代は? 入会して月謝を払ったのに結局3回しか通わなかったジムは? サブスクか、否かの判断は難しい。提供側がサブスクと謳っていればそれはサブスク!ということで受け入れるしかないのだろう。そして、直面している問題はそこではない。結構な金額を毎月サブスクに支払っているという現実である。前述した、NetflixとApple Musicに始まり、仕事に必要なソフトが使い放題のAdobe Creative Cloud(ちなみにAdobeはサブスクの成功例とされているらしい)や、YouTubeプレミアムにAmazonプライム。

毎月、毎月、クレジットカードから決まった金額が引かれていくから、僕の中の貧乏性な小役人が「元を取れ~、元を取れ~」と呪文のように繰り返すのだ。

そんなプレッシャーに負けて、Netflixはこれまで何度か解約している。「スコセッシの新作がNetflixオリジナルでやるらしい」という情報を知って復縁したのが最近で、それが3回目の契約になる。つまり、僕とNetflixの関係はバツ2とも言える。晴れて復縁出来たお陰で、スコセッシの「アイリッシュマン」を堪能することが出来たのだが、劇場でも公開されていたことは知らないフリをきめ込んだ。Apple Musicでも出来る限りの楽曲をダウンロードしている。Appleは昔の歌謡曲の品揃えが薄めなので、モーニング娘。の「LOVEマシーン」はオルゴールバージョンで落としておいた。

 

このように、サブスクの元を取るプレッシャーに押しつぶされそうな日々を送っているが、その原因は分かっている。契約する時に、1日が24時時間しかないことを忘れているのだ。限られた時間の中で、寝たり、仕事したり、お酒を飲んだり、電車に乗ったり、音楽を聴いたり、本を読んだり、映画を観たり、お風呂に入ったり、お酒を飲んだりしないといけない。そう言えば、買ったまま積ん読状態になっている本も10冊以上ある。まずは楽し みにしていたスノーデンの自伝を早く読まないといけない。新進気鋭の映画監督アリ・アスターの新作もそろそろ封切られる頃だし、事務所の近くに安くてうまい居酒屋を見つけてしまった。サブスク以外にやりたい事が多すぎるのだ。それでもサブスクの元は取らないといけないから、今も「LOVEマシーン」のオルゴールバージョンを聴きながら、この原稿を書いている。


スミ マサノリ
作家・映像作家

法政大学文学部を卒業後、デジタル系制作プロモーション勤務、デジタル系デザイン事務所の株式会社デジタルビイム代表取締役、フリークリエイターを経て、作家・デザイナー・映像作家・パフォーマーとしてマルチに活動中。
執筆やデザインのほか、自作のショートコントを発表したり、“捨てられた椅子に座るシリーズ”と銘打ったTwitterでの画像投稿など、ユーモラスで独特な世界観にコアなファンを持つ。
2019年、俳優の西川瑞と表現ユニット「劇団SAIGEN」を結成。活動の場を広げている。



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