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新NISA編⑥ ~各投資枠の活用方法について①~
2023/11/30

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概要

成長投資枠とつみたて投資枠の活用については、投資家自身の資金計画や投資への考え方に基づき、投資手法の違いを理解したうえで検討することが重要です 。







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■成長投資枠とつみたて投資枠について


今回は、新 NISA の成長投資枠とつみたて投資枠について、どのように活用を検討すべきかご説明いたします。まず、それぞれの年間と総額の投資上限金額を確認しましょう(図表1)。


図表1:成長投資枠とつみたて投資枠のイメージ図



※上記は投資枠についてのイメージです。
出所:金融庁および各種公表資料等を基にピクテ・ジャパン作成
※2023 年 11 月 23 日 時点の情報をもとに記載しております。また税務上の判断については、最寄りの税務署もしくは税理士にご確認ください。

新NISAでは非課税保有限度額総枠が600万円から1,800万円に大きく引き上げられたことに加え、非課税期間が無期限になり、途中でNISA口座内の商品を売却しても翌年にはその投資枠が再度使用可能 年間投資上限額の範囲内になることから、従来のNISAに比べて自由度と使い勝手が高まったといえます。また、成長投資枠をつかわず、つみたて投資だけで1,800万円の枠を使い切ることも可能ですが、成長投資枠だけを使う場合には1,200万円が上限となります。成長投資枠とつみたて投資枠の組合せはパターン化されたものがなく、投資家自身が今後の資金計画や投資に対する考え方等を確認、整理し、それぞれの投資枠の特徴を理解したうえで検討することが必要だといえます。


■新NISAで投資をはじめる前に確認しておきたいこと


それぞれの具体的な活用方法をご説明する前に、新 NISAで投資をはじめる際に確認しておくべき事項についてご説明いたします。図表2に主な確認事項を列挙しました。もちろん投資家一人ひとりの状況次第では、他にも確認すべきことがあることに注意が必要ですが、「毎年どのくらいの資金を投資に回すことができるか」については、今一度多くの投資家が検討すべき項目と考えます。なぜなら、成長投資枠とつみたて投資枠の両枠で年間最大360万円投資が可能ですが、余裕資金に限りがあったり一括投資に抵抗がある場合は、まずはつみたて投資枠だけを使用して、より長期的に投資を考えることも可能だからです。例えば、成長投資枠 年間240万円とつみたて投資枠 年間120万円を最大限活用した場合年間360万円、総枠の1,800万円を5年で使い切ることができる一方で、つみたて投資枠のみであれば15年以上かけて使うこともできます。非課税期間が無期限のため、いつまでに枠を使わなければならないという決まりはなく、年間投資上限金額内の無理のない範囲で投資が可能です。そのため、投資する商品を検討する前に、図表2で示しているように、具体的な財産況や将来の資金計画を整理することが先決だといえます。もちろん、期待するリターンや許容できるリスクの水準に基づき考えることが重要です 。


図表2:新 NISA で投資をはじめる際に確認すること




■一括投資とつみたて投資


最後に、一括投資とつみたて投資の特徴をご説明いたします。図表3にそれぞれの特徴について記載していますが、基本的にはどちらも長期投資が前提と考えます。その理由の一つに「複利効果」があげられます。複利効果とは、運用中に発生した利息や投資のリターンなどを元本に再投資し、リターンがリターンを⽣み出す効果のことを指しますが、長期投資は、この複利効果を最大化させる投資手法です。複利効果を、一括投資とつみたて投資で比較すると、一括投資の方が大きくなる傾向にあります。一方で、投資評価損益は投資先の値動きに概ね連動するため、マーケットが混乱し投資先の資産の価格が大きく下落した場合、投資家は大きな含み損を抱えることになります。そのような状況に陥ると、投資家は心理的に強いストレスにさらされてしまい、損切りを行ったり、価格が戻ったとしても十分な利益が出る前に売却するといった投資行動を行ってしまう傾向にあります。これは株式などの値動きが大きな資産へ一括投資をした場合に多くみられ、長期投資の大きな妨げになります。したがって、特に値動きの大きい資産に投資する場合は上記のことを認識し、余裕資金の範囲内で投資を行うことが重要です。

一方、つみたて投資は投資金額が徐々に増えるため複利効果は小さく、一括投資とつみたて投資のそれぞれに同額投資した場合の最終的な投資成果は、一括投資の方が大きくなる傾向にあります。ただし、それは一括投資に比べて大きな評価損が出にくいということも意味し、投資期間中の心理的なストレスを相対的に小さくすることが可能です。加えて、機械的に購入するため、マーケットが大きく下落した際も感情に左右されずに投資を続けることができます。このように、つみたて投資は複利効果が小さいものの、購入のタイミングを分散する「時間分散」により平均購入価格を平準化させ、評価損益のばらつきを抑えることができる点で有効な手段になりえます。運用資産全体の評価損益のばらつきを少しでも抑えたい方や毎年の投資可能金額を少額にとどめたい方に合った投資手法だといえます。



図表3:一括投資とつみたて投資の特徴







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