利益相反管理方針(概要)




1.目的

金融機関の提供するサービスの多様化や、世界的な金融コングロマリット化の進展に伴い、金融機関内または金融グループ内において、競合・対立する複数の利益が存在し、利益相反が発生するおそれが高まっています。ピクテ・ジャパン株式会社(以下「当社」といいます。)においても、顧客の利益が不当に害されることのないよう、利益相反のおそれのある取引を管理することが求められています。当社は、金融商品取引法上の有価証券関連業を行う第一種金融商品取引業者として、以下のとおり利益相反管理方針(以下「本方針」という。)を策定し、利益相反を管理することと致しました。

 

2.利益相反管理体制

(1) 利益相反管理統括部署の設置

法務コンプライアンス部を利益相反管理統括部署とし、法務コンプライアンス部長を利益相反管理統括責任者とします。利益相反管理統括部署は業務担当部門からの独立性を保証され、具体的な案件の処理について業務担当部門から指揮命令を受けることはありません。利益相反管理統括部署は、利益相反のおそれのある取引の特定および利益相反管理に関する全社的な管理体制を統括します。

(2) 利益相反管理統括部署の職責

利益相反管理統括部署は、当社の業務担当部署および親金融機関等から独立した立場で以下の職責を担います。利益相反管理統括部署は、当社の業務担当部署から、その特定した対象取引について報告を受けるとともに、必要に応じて対象取引に関する適切な利益相反管理の実施を当該業務担当部署に対して指示します。報告を受けた利益相反管理統括部署は、定期的にまたはその都度、対象取引の利益相反管理状況等の報告を受け、適切な管理が行われているかを検証し、必要に応じて、利益相反管理に係る手続や利益相反管理体制の見直しを行います。顧客の利益が不当に害されるおそれがある場合は、必要に応じて、当社等の業務担当部署に対する適切な利益相反管理の実施指示、対象取引の見直し等を行います。また、当社の役職員に対し、本方針等を踏まえた利益相反の管理について研修を定期的に実施し、利益相反のおそれのある取引の管理について周知します。

(3) 記録・保存

利益相反管理統括部署は、利益相反のおそれのある取引の特定および管理方法の選定を行った場合、当該措置について記録し、作成の日から5年間それを保存します。

(4) 内部監査部による内部監査

ピクテ・グループの内部監査部門および当社が内部監査を委託する外部専門家は、定期的に行う当社の内部監査において、利益相反管理統括部署をはじめ、利益相反管理に係る人的構成および業務運営体制について、リスクベース・アプローチに基づく検証を行ないます。

 

3.利益相反のおそれのある取引の類型・特定等

(1) 利益相反のおそれのある取引の類型・判断基準

本方針の対象となる「利益相反のおそれのある取引」とは、当社または当社の親金融機関等が行う取引のうち、当社の顧客の利益を不当に害するおそれのある取引(以下、「対象取引」といいます。)をいいます。利益相反は、①当社もしくは当社の親金融機関等と当社の顧客(見込み顧客を含む。以下特に指定のない限りにおいて同じ。)の間、または②当社の顧客もしくは当社の親金融機関等の顧客と当社の他の顧客との間等で生じる可能性があります。

  • 助言やアドバイスを通じて、顧客が自己の利益を優先させてくれると合理的な期待を抱く場合(忠実義務型)。
  • 顧客の犠牲により、当社が経済的利益を得るかまたは経済的損失を避ける可能性がある場合(忠実義務型)。
  • 顧客以外の者との取引に関連して、通常の手数料や費用以外の金銭、財貨もしくはサービスの形で誘因を得る場合、または将来得ることになる場合(忠実義務型)。
  • 保護すべき顧客を相手方とする取引をする場合(自己代理型)。
  • 保護すべき顧客の取引相手の側に立つ取引をする場合(双方代理型)
  • 保護すべき顧客の取引相手との間の、顧客と競合する取引をする場合(競合取引型)。
  • 保護すべき顧客の非公開情報の利用等を通じ、自己の利益を得る取引をする場合(情報利用型)。

なお、当社は、利益相反に該当するか否かの判断において、当社および当社グループのレピュテーションに対する影響がないか等の事情も考慮いたします。また、金融商品取引法その他の法令上で禁止されている行為であっても、「利益相反のおそれのある取引」に該当するもの以外は本方針の対象ではありません。

(2) 具体例

「利益相反のおそれのある取引」の具体例としては、以下に掲げるものやこれらに類する取引が考えられます

  • 有価証券に係る顧客の潜在的な取引情報を知りながら、当該有価証券について当社もしくはその役職員が自己勘定取引を行う場合または当社が運用をしている投資信託が当該有価証券を組み入れる場合
  • 当社または関係会社が組成する投資信託証券等を、顧客に推奨・販売する場合または当社が運用を受託している顧客の資産に組入れる場合
  • 当社が運用している投資信託が、シードマネー等残高確保の目的で、当社または関係会社が組成する投資信託証券等を組入れる場合
  • 複数の顧客またはファンドの資産の運用を受託しているときに、当該顧客またはファンド間での資産配分を行う権限を有する場合
  • 当社またはその関係会社が自己投資(シードマネーおよび役職員による投資を含む。)を行っているファンドについて、当社が顧客に対して勧誘を行う場合
  • 当社が運用を委託されている運用財産相互間での取引を行う場合
  • 当社内に、他社の役員その他会社の経営方針の決定に重要な影響を与えることのできる地位にある役職員が存在するときに、当該会社の発行する有価証券に係る取引を行う場合
  • 当社の従業員が、顧客の利益と相反するような影響を与えるおそれのある贈答や遊興(非金銭的なものを含む。)を提供する場合あるいはその供応を受ける場合

(3) 利益相反のおそれのある取引の特定等のプロセス

当社の営業部門の役職員は、顧客との間の取引により取得した情報に照らして、新規案件あるいは既存の投資案件のそれぞれの場合について、上記(1)の類型に該当するおそれがあると判断した場合は、利益相反管理統括部署に連絡してその指示を仰ぎます。なお、営業部門の判断と利益相反管理統括部署の判断が異なる場合は、利益相反管理統括部署の判断が優先します。 ただし、当社または当社グループのレピュテーションにかかわる場合等重大な判断を要する場合は、利益相反管理統括責任者は経営会議または各種委員会において利益相反のおそれのある取引の特定およびその管理方法を協議し、必要な措置等の勧告を行います。

 

4.利益相反管理の対象となる会社の範囲

利益相反管理の対象取引は、当社および当社の親金融機関等が行う取引です。「親金融機関等」とは、当社の①親法人等、②親法人等の子法人等、③親法人等の関連法人等、④特定個人株主に係る子法人等・関連法人等のうち、金融商品取引業者、銀行、協同組織金融機関、株式会社商工組合中央金庫、保険会社(外国保険会社等も含む。)、無尽会社、証券金融会社等、外国の法令に準拠して外国において金融商品取引業、銀行業または保険業を行う者のいずれかに該当する者をいいます。

なお、金融商品取引法では、第一種金融商品取引業者の子金融機関等も含めて利益相反の管理を行うことを求めていますが、現在、当社の子金融機関等は存在しません。「子金融機関等」とは、当社の①子法人等または②関連法人等のうち、金融商品取引業者、銀行、協同組織金融機関、株式会社商工組合中央金庫、保険会社(外国保険会社等も含む。)、無尽会社、証券金融会社等、外国の法令に準拠して外国において金融商品取引業、銀行業または保険業を行う者のいずれかに該当する者をいいます。

 

5.利益相反のおそれのある取引の管理の方法

当社は、利益相反のおそれのある取引を特定した場合、次に掲げる方法その他の方法を選択し、または組み合わせることにより当該顧客の保護を適正に確保いたします。

  • 対象取引を行う部門と当該顧客との取引を行う部門を分離する方法
  • 対象取引または当該顧客との取引の条件または方法を変更する方法
  • 対象取引または当該顧客との取引を中止する方法
  • 対象取引に伴い、当該顧客の利益が不当に害されるおそれがあることについて、当該顧客に適切に開示する方法(ただし、当社または当社の親金融機関等が負う守秘義務に違反しない場合に限ります。)
  • その他当社が適切と認める方法

 

制定 令和2年1月1日