Article Title
プレミアム・ブランド企業の足元の株価動向
2023/10/12

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

●2023年下期以降、これまで株価上昇率が大きかった銘柄を中心に反落。今後も当面、米国におけるリベンジ消費一巡や中国の景気動向を巡る懸念が株価の重荷となる可能性
●中長期的な成長性や、特に欧州の高級ブランド企業の良好なファンダメンタルズ(基礎的条件)には変わりがないとみる



Article Body Text

これまで株価上昇率が大きかった銘柄を中心に反落

当ファンドの投資先であるプレミアム・ブランド企業の株価は、ゼロコロナ政策終了後の中国市場の回復期待などを背景に、2022年後半から2023年前半は、先進国株式の中でも相対的に良好なパフォーマンスを示しました。しかし、それ以降は、株式市場におけるAIブーム(プレミアム・ブランド企業はこれと関連が乏しい)や、米国の旺盛なリベンジ消費の一巡感や今後の消費減速懸念の高まり、中国の景気回復の遅れに対する懸念などが、多くのプレミアム・ブランド企業の株価にとって重荷となっています。

特に、高級ブランド企業をはじめこれまでの株価上昇率が大きかった銘柄については、2023年下期以降、足元(2023年10月11日)まででみると、相対的に株価の下落率が大きくなりました。

米国のリベンジ消費の一巡感や中国の景気回復の遅れなどが背景

足元の高級ブランド企業の株価反落の背景の1つには、これまで高級ブランド商品をはじめとしたプレミアム・ブランド商品に対する力強いリベンジ消費の動きをみせてきた米国で、リベンジ消費の一巡感がみられることに加えて、累積的な金融引き締めの影響から個人消費の減速を伴う景気減速も懸念されていることがあります。さらに、今年初めにゼロコロナ政策が解除されたことで大きく需要回復が期待されていた中国についても、景気動向に懸念が残ることなどがあると考えられます。ただし、中国については、比較的景気動向の影響を受けにくい富裕層を中心にプレミアム・ブランド商品やサービスに対する需要は依然として旺盛であるとみられます。実際、高級ブランド企業の2023年前半の決算では、アジア(除く日本)における販売の回復が示されました。

「体験」・「経験」の価値重視の流れを受けて、トラベル関連などには回復期待も

高級ブランド商品をはじめとしたプレミアム・ブランド商品の購入といった「モノ消費」だけではなく、「体験」・「経験」といった価値を重視する消費トレンドは根強く、トラベル・レジャー関連分野については、回復基調が続くとみられます。

中国当局は、今年2月以降、中国から海外への団体旅行を段階的に緩和しており、8月には日本、韓国、オーストラリア、米国、ドイツ、英国などをはじめとする78の国と地域についても解禁しました。

また、中国のみならず、世界的にみても海外旅行者数はコロナ前の水準にまでは回復しておらず、今後も回復余地があるとみています。ただし、足元の中東情勢の緊迫化の動向については、世界的な海外渡航の流れにマイナスの影響を及ぼす可能性もあるため、注視していく必要があるとも考えます。

なお、トラベル関連分野の代表格であるホテル運営企業については、旺盛な宿泊需要を背景に宿泊料金の引き上げ実施と客室稼働率の改善に加えて、自社株買いの実施などを受けて、2023年度の1株当たり利益(EPS)の予想値(I/B/E/S集計アナリスト予想値)は、上方修正傾向が続いています。

足元では、特にトラベル関連の組入比率を引き上げ

当ファンドの足元のポートフォリオにおいては、消費者の旺盛な旅行・レジャー需要を背景に今後も回復基調が続くと期待される「トラベル関連」のホテル運営企業の組入比率を引き上げています。ただし、前述の通り、中東情勢の動向を注視していく必要もあると考えます。

一方、欧州をはじめとした高級ブランドについては、引き続き底堅い需要が見込まれるものの、力強いリベンジ消費の動きが一巡し、通常の成長ペースに収れんしていく中で、成長ペースは減速するとみられます。そのため、これまで株価が大きく上昇してきた銘柄を中心に一部を売却して利益を確定するなどの調整を行っています。また、食品・飲料については、高級酒の主力市場である北米では当面回復が期待しにくいと考えられることから、組入比率を大きく引き下げています。 ※2023年9月末時点の状況。

短期的な株価の下落には警戒も、中長期的な成長性への見方には変わりなし

今後、プレミアム・ブランド商品やサービスに対する力強いリベンジ消費の動きは一巡し、通常の成長ペースに収れんしていくと想定されます。こうした中で、相対的に高い利益率を示してきた高級ブランド企業などを中心に、底堅い需要は続くと予想される一方、売上・利益の成長ペースは減速する可能性があり、短期的に株価にとってマイナス材料となることが懸念されます。

一方、中東情勢の動向には注視しつつも、世界的な海外旅行の本格的な回復が期待されます。また、回復が遅れてきたスポーツ関連などの分野については在庫調整が進んでいることが確認されており、業績は底打ち・改善に向かうと予想されます。こうした点は、今後のプラス材料となると考えます。

中長期的にみれば、中国をはじめとしたアジア新興国の消費者の購買力の向上が成長ドライバーとなると期待されることに加え、顧客層に景気変動の影響を相対的に受けにくい富裕層が多いことなどが、底堅い需要動向を下支えするとの見方には変わりがありません。


また、欧州の高級ブランド企業については、長い歴史を有する企業が多く存在します。長い歴史の中では経済危機などを幾度も乗り越えてきた実績があるとともに、いつの時代も多くの消費者を魅了する商品を提供し続けてきました。これは、優れた経営力があるからこそ実現できると考えられます。こうしたことから、欧州の高級ブランド企業には、強力な価格決定力が実現する高収益性に加えて、健全な財務基盤を持つ優良企業が多いのが特徴です。世界経済や市場動向の先行き不透明感が高まる中で、こうした銘柄は投資家の注目を集める可能性があるとみられ、ポートフォリオの中核的な存在としての位置づけには変わりがありません。

※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

iTrustプレミアム・ブランド



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/03/26
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|人々から熱望され続ける、プレミアム・ブランド タグ
日付
2024/02/22
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|直近決算が示す、底堅いプレミアム・ブランド需要 タグ
日付
2024/01/05
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|2024年、プレミアム・ブランドを支える3つのポイント タグ
日付
2023/11/13
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|強弱はあるものの、概ね底堅い業績動向 タグ
日付
2023/08/18
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|堅調な業績動向。今後は海外旅行の回復に期待 タグ
日付
2023/06/15
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|プレミアム・ブランド、特徴と投資対象としての魅力 タグ
日付
2023/06/05
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|足元のプレミアム・ブランド企業の株価動向 タグ
日付
2023/05/26
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|2023年1-3月期は好決算。今後の成長にも期待 タグ
日付
2023/04/17
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|決算で示されつつある、中国のプレミアム・ブランド市場の回復 タグ
日付
2023/04/04
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|引き続き、相対的に高い利益成長期待 タグ
日付
2023/03/17
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|ファンド・マネージャーの視点~2023年を注目の年と考える理由 タグ
日付
2023/03/02
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|業界専門家からのアドバイスを活用 タグ
日付
2023/03/01
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|「中国の経済再開」をより意識した、ポートフォリオに タグ
日付
2023/02/24
タイトル 回復に向かう、世界の旅行需要 タグ
日付
2023/02/22
タイトル 中国の経済再開で、期待が高まるプレミアム・ブランド タグ
日付
2023/02/21
タイトル iTrustプレミアム・ブランド|中国の経済再開で動き出す、中国の消費パワー タグ
日付
2023/02/03
タイトル iTrustブランド|2023年の展望、中国の経済再開で需要の本格回復に期待 タグ
日付
2023/01/20
タイトル iTrustブランド|中国の経済再開による恩恵を享受 タグ
日付
2022/04/01
タイトル iTrustブランド|幾多の危機を乗り越えてきたプレミアム・ブランド タグ
日付
2021/08/24
タイトル ここ最近の当ファンドの基準価額動向について タグ
日付
2021/06/28
タイトル 高い成長期待と「質」の高さに対するプレミアム タグ
日付
2021/06/17
タイトル 相対的に高い利益成長力が、株価を下支え タグ
日付
2021/05/11
タイトル 鮮明となりつつある、プレミアム・ブランドの「リベンジ消費」拡大の動き タグ
日付
2021/03/31
タイトル 個人消費回復と消費の二極化トレンドが追い風に タグ
日付
2021/03/04
タイトル 「リベンジ消費」拡大で恩恵を受けるプレミアム・ブランド タグ
日付
2021/02/18
タイトル 不透明感が残る市場環境下、「強力に利益を生み出せる力」が注目される可能性も タグ
日付
2021/02/16
タイトル 復活の兆しが見え始めた、プレミアム・ブランド株式 タグ
日付
2020/11/04
タイトル プレミアム・ブランド株式を取り巻く「今」:向かい風の中明るい兆しも タグ
日付
2020/08/19
タイトル 引き続き人々の「羨望の的」となるような強力なブランド力に注目 タグ
もっと見る