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- 不透明な市場環境で示される金の強み
・混乱する金融市場の中で堅調さを維持する金価格
・金価格は金融市場が混乱する局面で米国株式などと異なる値動きをする傾向
混乱する金融市場の中で堅調さを維持する金価格
世界の金融市場は2024年7月以降、米国の景気減速懸念などを背景に大きく変動し、金価格も一時的に値動きの大きい展開となりました。しかしその後、金価格は8月中旬にかけて底堅く推移し、足元では過去最高値を更新しました(米ドルベース、図表1参照)。
金価格が底堅く推移した要因には、米国の景気減速懸念を背景に米国の利下げ観測が強まったことで米国国債の利回りが低下し、利息を生まない資産である金の相対的な魅力が高まったと捉えられたことがあります。さらに、金は国籍を持たず、株式や債券などと異なり発行体の信用リスクがないという特徴を持つことから、金融市場が混乱する中で資金の逃避先としての需要が高まったと考えられます。
今後についても、足元で米国のインフレ圧力が緩和傾向にあり、米国の金利が中長期的に低下すると見込まれることが金価格の上昇要因になると期待されます。また、イスラエルとイランの対立や、ロシアとウクライナの戦闘などを巡る緊張といった地政学リスクの高まりも、金価格を支える要因になると考えられます。今秋には米国の大統領選挙を控え、米国の外交政策の見通しが不透明であることも、地政学的な不確実性を高める要因となっており、このような世界情勢の不安定化は、資源価格や企業のサプライチェーンへの影響や、カントリーリスクの高まりなどを通じて株式や債券などの資産価格に悪影響を及ぼすと懸念されることから、資金の逃避先として金への需要が継続する要因になると考えられます。
不透明な市場環境で示される金の強み
過去に金融市場に混乱が生じた局面を振り返ってみると、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックの発生直後など、短期的には金価格が株式市場などと同様に下落する場面がありました(図表2参照)。株式市場などの急落を受けて、損失の制限や利益の確定などを目的として資産売却を行う投資家の動きなどが金価格にも影響を与えたと考えられます。しかし、その後の金価格は相対的に底堅く推移し、早期に下落前の水準に値を戻す傾向が見られました。
また、図表3で示した局面毎の価格の変化率を見ると、多くの場合において金価格が米国株式などと異なる値動きをするという傾向が確認できます。このような特性を持つ金の組入れは、世界の金融市場を取り巻く環境が日々変化する中で、資産全体のリスクを低減する手段として注目されます。
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