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- 米国株“一本足打法”からどう脱却するべきか? <萩野琢英 × 篠田尚子>
マーケットを知り尽くしたプロが多様なトピックを語り合う動画コンテンツ「Pictet Market Lounge」。萩野琢英とファンドアナリストの篠田尚子氏が、幅広い資産運用のトピックについて語りました。
以下は二人の対談の中で触れられたトピックです。
- 後半にかけて好調な動きとなった2020年の株式市場だが、一部の市場や銘柄への注目度が高かった年でもあった。
- 株価などの上昇とともに金融市場に更に資金が流入することも予想され、投資を前向きに捉える人も増えている。
- 一方で、金融・経済市場は変化することを前提に、投資先を一極集中するのではなく、分散やリバランスを常に意識することが重要になる。
激動の2020年を振り返る
ITバブルの崩壊やリーマン・ショックなどの経済的なショックを経験してきた萩野にとっても、人々が生活習慣の変更を余儀なくされ、さらにマーケットの動きも過去の危機とは異なっていたという点から、2020年は様々な初めてを経験した年だった。
“米国株”一本足打法
大恐慌以来の急速な下げを経験したが、その後は高値更新に至るほど好調な米国株式市場。そうした中、米国株式、特にハイテク株や成長株に集中的に投資をする動きもある。
“アクティブ・リスク”の果実
S&P500指数のような幅広い業種・銘柄に投資をする指数が市民権を得始めた一方、ハイテク株を中心に構成されたナスダック指数や個別株を物色するというアクティブ・リスク※を取った投資行動も見られた。結果的にもアクティブ・リスクを取った方が、パフォーマンスはよかったのが2020年だった。
※ベンチマークとなる指数とは異なる銘柄選択をすることによって生じる運用成果のブレのこと。例えば、ベンチマークをS&P500指数とした場合、ナスダック指数に投資をする行動はアクティブ・リスクを取っていると言え、運用成果の乖離が大きくなると高いアクティブ・リスクを取ったと言える。
気になる、今年の投資戦略
例えばGoogleが独占禁止法についての問題で提訴されるなど、好調だったハイテク株にとっても今後が順風満帆という訳ではない。ハイテク株が踊り場に入る可能性も十分に考えられるので、投資する銘柄については改めて吟味し、分散を心がけることが重要になるのではないか。
ポイントは、まだ誰も見ていないときに・・・
YouTubeのようなSNSでも取り上げられることの多い米国株式やハイテク銘柄に注目してしまいがちだが、誰も見ていないときに他の市場や銘柄を物色してみることも重要。これが結果的には、ポートフォリオのリバランスにもつながる。
2020年の投資信託市場
昨年の投資信託市場はトレンドの移り変わりが激しかった。コロナ後は米国株一辺倒だったが、夏ごろからはリスクを抑えたバランス型のファンドに資金流入が見られていた。成長と安定を狙うファンドの双方に資金流入が見られたことで、印象深い年となった。
市民権を得た「つみたて」
iDeCoやNISAが普及した中で、昨年はSNSなどでも成功体験を得た投資家が「つみたて」について発信する動きが見られた。
安定感で応える、低リスク型バランスファンドにニーズあり
金利が高い局面では、為替変動リスクを加味しても相対的な安定性に注目して債券ファンドを購入する動きが見られていた。ただ、現在の金利水準の下では、低リスク型バランスファンドがその役割を担い始めている。例えば、すでに株式ファンドを保有している投資家にとっては、こうしたファンドがポートフォリオの緩衝材としての役割を果たすことも期待できると篠田氏は言う。
銘柄選択が問われるREIT
株式や債券の代替と言われるREIT(不動産投資信託)は、良好なパフォーマンスもあり注目されてきた。コロナ禍での在宅ワークの広がりによるオフィスビルの空室率懸念がある一方、宅配需要の高まりとともに物流施設へのニーズが高まるなど、REITといっても銘柄ごとに異なる影響が出ている。
「金」を保有する投資家が急増
篠田氏のもとには「金をどのように保有すればよいのか」という質問が寄せられると言う。そうした中で感じられるのは、金を「安く買って、高く売る」だけではなく、ポートフォリオ全体の一部として持っておきたい資産として認識し始めるという変化の動き。資産保全や分散投資の観点から、こうした考え方を持つ人が少しずつ増えてきているように感じられると言う。
お金の使い方に変化「どのくらい投資すべきか?」
篠田氏によると生活スタイルの変化とともに、お金の使い方にも変化が出てきていると言う。アンケートを見てみると使わなくなった資金を投資に回すべきか、投資するなら何を購入すべきかといった相談も増えている。
“投信ブーム”がやって来る
投資信託を保有する人が着実に増えており、現在のようなマーケットが続くようなら「投信ブーム」のようなものが起こるのではないかと萩野は言う。
「資産効果」の「経済効果」
保有資産の価値が上がることで消費が増える資産効果は、経済に対して大きな影響を与えることになる。そうした資産効果の重要性を感じている人が増えるのではないかという考えも、投信ブームの到来を予感する萩野の頭にあると言う。
分散とリバランスが鉄則
自分が保有しているものが上昇すると気が大きくなって、同じものを買いたくなってしまうが、そうした時だからこそ持っていないものなどに目を向けることが、いざというときに自分を助けてくれるかもしれない。
投資を考えるときに、基本となる資産配分をイメージしておき、その配分を目安に保有する銘柄を入れ替える(リバランス)という考え方が重要。単純に上がった銘柄を売って現金に留めるのではなく、異なる資産に入れ替えていくということが、低金利の今の時代には大切な考え方だと言える。
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