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2024年11月のバイオ医薬品市場
2024/12/11

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概要




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■バイオ医薬品関連企業の株価動向

11月のナスダック・バイオテクノロジー指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

世界の株式市場は、米国大統領選挙でトランプ氏が勝利し、トランプ次期政権による規制緩和政策などが経済成長を促すとの見方などを背景に上昇しました。一方、バイオ医薬品株式は、トランプ新政権でワクチン懐疑論者であるロバート・ケネディ・ジュニア氏の保健福祉省長官起用が発表されたことを受けて、ヘルスケア株式全体が軟調な動きとなる中、一時、大きく下落しました。その後は、次第に懸念が和らぐ中でバイオ医薬品株式は反発しましたが、月間では下落となりました。

株価が上昇した銘柄としては、スプリングワークス・セラピューティクス(米国)、TGセラピューティクス(米国)などが挙げられます。スプリングワークス・セラピューティクスは、主力治療薬の販売形態変更に伴う一時的な処方の遅れなどにより、2024年7-9月期決算は厳しいものになると見込まれていましたが、2024年7-9月の間に移行が順調に進んでいることが示されたことや2025年2月までに米食品医薬品局(FDA)による審査結果の発表を控える新薬候補(パイプライン)への期待などから株価が上昇しました。TGセラピューティクスは、2024年7-9月期決算で売上高が市場予想を上回る大幅な伸びとなったことなどが好感され、株価が堅調に推移しました。

株価が下落した銘柄としては、バクサイト(米国)、バイキング・セラピューティクス(米国)などが挙げられます。バクサイトなどワクチンの開発・製造などを行う銘柄は、トランプ新政権でワクチン懐疑論者であるロバート・ケネディ・ジュニア氏の保健福祉省長官起用が発表されたことを受けて下落しました。バイキング・セラピューティクスは、同社の肥満症治療薬候補VK2735などが良好な治験結果を示していますが、製造面など事業拡大に対する不安が株価の重しとなりました。



■今後のバイオ医薬品市場見通し

2024年のバイオ医薬品株式市場は、米国金利の変動や米国の大統領選挙とその後の閣僚人事などの影響を受けて、変動が大きくなりました。このような状況下、バイオ医薬品株式市場には、少しずつ良い兆候がみられると考えます。2023年に大型案件が多くみられたM&A(合併・買収)の動きは、大手の医薬品企業が大型治療薬の特許問題に直面していることもあり、今後も継続するものとみられ、2025年半ばまでには、再び案件の増加が期待されます。特にフェーズ2で良好な治験結果が示された治療薬候補を有するなど買収後のリスクの低い銘柄が注目されます。新薬の開発では、画期的な新薬の開発が続いており、AI(人工知能)の進化が、さらに開発を加速するとみています。また資金調達については、新薬の開発が順調な企業では引き続きスムーズに進められています。一方、IPOは依然として低調な状況が続いています。引き続き米国の金融政策、マクロ経済の動向、2025年に発足するトランプ新政権の政策動向には注視が必要と考えます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。さらにAI(人工知能)の進歩はバイオ医薬品業界のイノベーションに大きな役割を果たすことが期待されます。






■バイオ医薬品関連企業の売上高は新薬承認後の業績寄与などにより相対的に高い伸びに

バイオ医薬品関連企業の売上高は、堅調に成長してきました。(図表6参照)バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬承認後の業績寄与が期待されていることから、今後3年間で年率+10.3%の相対的に高い売上高の伸びが予想されています。(図表7参照)




■売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)



■バリュエーション

バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していましたが、2021年秋以降は新薬承認申請に対するFDAの予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、2022年半ばにかけてナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテクノロジー指数も下落したことから、PSR も低下しました。(図表9 参照)
足元は、良好な治験結果の発表や、再びバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目され、PSRは上昇に転じつつあります。





                                                                    

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