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バイオ|2024年1-3月のピクテ・バイオ医薬品マザーファンドの振り返りと今後のポイント
2024/05/02

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概要

●2024年1-3月にピクテ・バイオ医薬品マザーファンドは円安・米ドル高などが寄与し上昇
●金利の動向には警戒が必要だが利益成長期待は継続、M&Aの動きにも引き続き注目



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2024年1-3月にピクテ・バイオ医薬品マザーファンドは円安・米ドル高などが寄与し上昇

ピクテ・バイオ医薬品マザーファンドは、円安・米ドル高などが寄与し2024年1-3月に+3.6%の上昇となりました。一方、バイオ医薬品株式の代表的な指数であるナスダック・バイオテクノロジー指数(円ベース)の+7.5%を下回りました。(図表1参照)。

2024年1-3月の世界の株式市場は、欧米におけるインフレ圧力の低下や利下げ観測の高まり、AI(人工知能)の普及拡大への期待などから情報技術セクターが堅調な動きとなったことなどを背景に上昇しました。このような中、バイオ医薬品株式についても上昇しましたが、2023年10月後半から12月末にかけて大幅に低下した米国の長期金利が2024年1-3月は緩やかながら上昇基調となったことが金利感応度の高いバイオ医薬品株式市場にとってマイナス要因となり、米ドルベースでは小幅な上昇にとどまりました。一方、為替市場では、日銀が3月にマイナス金利を解除したものの、依然として日米の金利差が意識され円安・米ドル高となりました。

2024年1-3月に、組入上位銘柄のうちプラス寄与が大きかった主な銘柄は、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(米国)、バーテックス・ファーマシューティカルズ(米国)、モデルナ(米国)などでした。リジェネロン・ファーマシューティカルズは、2023年10-12月期の決算において新型コロナの抗体治療薬の需要が落ち着いたにも関わらず売上高、利益ともに市場予想を上回ったことや、米食品医薬品局(FDA)が1~11歳の好酸球性食道炎患者に対するデュピクセントの使用を承認したことなどが好感されて株価が上昇しました。バーテックス・ファーマシューティカルズについても、2023年10-12月期の決算が売上高、利益ともに市場予想を上回ったことに加え、非オピオイド鎮痛剤候補の治験成功などが株価の上昇要因となりました。モデルナは、2023年10-12月期の決算が売上高が市場予想を上回り、利益については予想に反して黒字化したことや、皮膚扁平上皮がんを対象としたワクチンの治験開始などを受けて株価が上昇しました。また組入上位銘柄以外では、良好な2024年の業績見通しを発表した米国の臨床試験受託会社や希少疾患のリボ核酸(RNA)を標的とした治療薬などを開発する米国のバイオ医薬品企業などの株価が堅調に推移しました。

一方、組入上位銘柄のうちマイナス寄与が大きかった銘柄は、バイオジェン(米国)、ギリアド・サイエンシズ(米国)、インサイト(米国)などでした。バイオジェンは、2023年10-12月期決算が市場予想を下回ったこと、2021年に承認されたアルツハイマー病治療薬アデュヘルムの販売中止やそれに関連する損失計上を発表したことなどが株価の下落要因となりました。ギリアド・サイエンシズは、2024年通期の利益予想が市場予想を下回ったことや局所非小細胞肺がん治療へのトロデルヴィの使用に関する治験の失敗などが影響し株価が下落しました。

また組入上位銘柄以外では、会計操作の嫌疑、負債削減の遅れなどが懸念された血液製剤事業を行うスペインの医薬品企業や、アミロイド症治療薬の適応拡大のための治験の結果発表がずれ込むこととなった米国のバイオ医薬品企業、統合失調症治療薬候補の治験が期待外れの結果となった米国のバイオ医薬品企業などの株価が大きく下落しました。

 

2024年1-3月の投資行動

2024年1-3月に当ファンドでは、がんワクチンの治験が進展しているモデルナ、主力治療薬のひとつであるデュピクセントの適応拡大への期待が高いリジェネロン・ファーマシューティカルズの組入比率を引き上げました。

一方、2024年2月初めにかけて肥満治療薬のパイプラインへの期待などから株価が大きく上昇していたアムジェン(米国)、2024年通期ガイダンス(業績予想)で売上高の減少が予想されているバイオジェンなどは組入比率を引き下げました。

その他、ゲノム編集に強みを持つスイスのバイオ医薬品企業や、心血管疾患や神経筋肉疾患の治療薬開発に強みを持つ米国のバイオ医薬品企業などを新たに組入れました。また米国大手医薬品企業に買収された米国のバイオ医薬品企業を全売却しました。

 

今後のポイント~金利の動向には警戒が必要だが利益成長期待は継続、M&Aの動きにも引き続き注目

バイオ医薬品企業は金利水準に敏感な一面があることから、米国や欧州などのインフレや政策金利の動向には注意が必要と考えます。また、薬価引き下げの動きや米国大統領選挙の動向、治験結果の発表、決算の内容などが株価動向に影響を与える可能性などに注視が必要と考えます。

一方で、バイオ医薬品企業は、長期的に世界の人口増加と高齢化が同時に進展することが予想される中で、画期的な治療薬を提供し続けるものと予想され、相対的に高い利益成長が期待されます。また魅力的な新薬候補や高い技術力を求め、大手医薬品企業によるバイオ医薬品企業をターゲットとしたM&A(合併・買収)の動きは、複数の大型案件がみられた2023年に続き、堅調に推移することが期待されており、バイオ医薬品株式にとってプラスに寄与するものとみています。

引き続き、当ファンドでは、事業の収益性や安定性、バリュエーション(投資価値評価)の水準、株価の下落耐性などを考慮して銘柄選定を行い、リスクを抑えたポートフォリオを構築していく方針です。



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