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- バイオ|インフレ抑制法に基づく対象品目の薬価削減率は予想よりも小幅にとどまる
●2024年8月にインフレ抑制法に基づく最初の対象処方薬10品目の交渉薬価が発表され、削減率は予想よりも小幅にとどまる
●メディケアと製薬会社の薬価交渉の対象品目は今後も追加される
インフレ抑制法に基づく米国の公的医療保険メディケアと製薬会社の価格交渉対象処方薬10品目の交渉薬価が発表され、削減率は予想よりも小幅にとどまる
2024年8月15日、米国バイデン政権はインフレ抑制法に基づき、公的医療保険メディケア注と製薬会社による薬価引き下げ交渉の最初の対象となっていた処方薬10品目の交渉薬価(2026年から適用)が発表されました。 注:65歳以上の高齢者や特定の障害のある人などを対象とした連邦医療保険プログラム
今回、発表された10品目の交渉薬価の定価からの削減率は38%~79%で、一見、大きな削減率に見えますが、現時点でも卸売業者や販売業者を通じたリベートや割引などにより、実質的に取引される価格は定価よりも値引きされており、このような状況を勘案すると、実質的な削減率は22%となります。
なお、市場では削減率は25%程度になると予想していたことから、実質22%で抑えられたことは製薬企業とメディケアの交渉が協力的に行われた可能性を示しており、好意的に受け止められています。
メディケアと製薬会社の薬価交渉の対象品目は今後も追加される
2022年に成立したインフレ抑制法により、これまで禁止されていたメディケアによる製薬会社との医薬品の価格交渉が認められるようになり、薬価交渉が段階的に進められるようにタイムラインが設定されています(図表1参照)。
タイムラインによると、今回発表された2026年適用開始の処方薬10品目の後は、2025年11月末までに2027年適用開始の「メディケア・パートD」対象処方薬15品目、 2026年11月末までに2028年適用開始の「メディケア・パートB及びD」対象処方薬15品目、2027年11月末までに2029年適用開始の「メディケア・パートB及びD」対象処方薬20品目の交渉薬価が公表されることになっています。2028年以降は毎年、「メディケア・パートB及びD」対象処方薬20品目が追加される予定です。
メディケアと製薬会社による薬価交渉は今後も継続し、対象となる処方薬が追加されるため、製薬会社は長期的に影響を受ける可能性はあります。また今回、発表された初めの処方薬10品目については、既に承認を受けて長期間経過している処方薬のため、既に割引で販売されていることから、価格交渉といった面では、これからの交渉がどのように進むのかがより重要との見方もあり、注視していく必要があると考えます。
ただし、今回、発表された交渉薬価が予想よりも小幅な削減率にとどまったことで、市場の注目はバイオ医薬品株式市場全体では金融政策やマクロ経済の動向に、企業ごとでは新薬候補(パイプライン)や決算などに集まるものとみています。
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