Article Title
金価格を見通すうえでの重要なポイント
2023/06/28

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要
  • 金は米ドルの代替資産と見なされるため、米ドルの変動の影響を受ける傾向がある
  • 金は金利を生まないため、金利の変動により相対的な魅力度が変化する傾向にある
  • 米ドルや金利、金価格を見通すうえで短期的には米国の金融政策の動向が重要に

Article Body Text

■  金価格に影響を与える要因①米ドル

金価格の変動要因は多岐にわたりますが、本レポートでは、その中でも短期的な金価格の主な変動要因として「米ドル」と「金利」についてご紹介します。なお、このような要因は「直ちに、必ず金価格に影響を与える」というものではなく、金融市場の局面によって金価格に影響を及ぼす度合いも変化します。また、当ファンドへの投資を通じて実質的に金に投資する場合、基準価額は金価格に加えて為替の変動の影響を受けます注1

まず金価格と米ドルとの関係では、金は一般的に米ドルの代替資産と見なされるため、米ドルが主要通貨に対して下落した場合、金の相対的な魅力が向上したととらえられ、金価格は上昇する傾向にあります。図表1は金価格と米ドル指数注2の推移を示したものです。すべての期間において該当するわけではありませんが、米ドル指数の下落局面では金価格が上昇し、米ドル指数の上昇局面では金価格が下落する傾向が見て取れます。

米ドルの主要通貨に対する変動には、各国の財政収支や経常収支、インフレ率などの要因や中央銀行の金融政策、政治的な要因に加えて市場参加者の動向など、多岐にわたる要因が複雑に作用していると考えられます。中でも短期的な要因として各国の金融政策の見通しや金利差に注目が集まりますが、2022年以降の為替市場では、インフレ抑制を目的とする米国の継続的な利上げの実施を背景とした他の主要国・地域との金利差の拡大が、主要通貨に対して米ドルが上昇する主な要因となりました。

注1:為替ヘッジを行った場合でも、為替変動リスクを完全に排除できるものではなく、為替変動の影響を受ける場合があります。
注2:ユーロや円などの主要通貨に対する米ドルの相対価値を示した指数。数値の上昇は主要通貨全体に対する米ドル高の進行を示します。

■  金価格に影響を与える要因②金利


金は金利を生まない資産であるため、金利が上昇すると金の相対的な魅力が低下し、金価格は下落する傾向にあります。反対に、金利が低下すると金価格は上昇する傾向にあります。

図表2は金価格と米国実質長期金利(以下、実質金利)注3の推移です。これを見ると、すべての期間に該当するとは言えませんが、実質金利の上昇局面では金価格が下落し、実質金利の下落局面では金価格が上昇する傾向が見て取れます。なお、実質金利は名目金利(一般的に表示されている金利)から期待インフレ率を差し引いて算出される金利で、物価の影響を考慮した実質的な金利のことです。

名目金利は、中央銀行の金融政策や景気動向、物価動向などの影響を受けて変化します。期待インフレ率は人々がもつ将来のインフレ率に関する予想を表すものですが、アンケート調査や物価連動国債などの金融資産の価格をもとに把握されており、市場参加者による景気や金融政策に関する予想などにより変化すると考えられます。

足元では、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が年内に追加利上げを実施する可能性を示唆したことなどを受けて、名目金利の上昇に伴い実質金利も上昇し、金価格の上昇を抑える主な要因になっていると考えられます。

注3:長期金利は取引期間が1年以上の資金を貸し借りする際の金利です。一般的には10年物国債利回りが用いられますが、当資料では金融政策に対する感応度や、政策金利の上昇局面における金価格の変化に対する説明力が高いと判断し、2年物国債利回りを用いています。

■  金価格を見通すうえでの重要なポイント

今後も、FRBの金融政策の動向に対する市場参加者の見通しが米ドルや金利の動向を通じて金価格に大きな影響を与えると想定されます。利上げの打ち止めなど金融政策方針の転換が明確に示され、米ドルや実質金利が低下した場合には、金価格の上昇要因となる可能性があります。

米国の金融政策については、FRBが物価の安定と雇用の最大化を目指すうえで、これまでの利上げなどの効果を見極める段階にあると思われます。利上げの実施など、米国の金融政策を決定する会合である連邦公開市場委員会(FOMC)は年内にあと4回開催される予定注4ですが(7月26日、9月20日、11月1日、12月13日)、その動向を占うポイントとして、主に毎月第1金曜日に発表される雇用統計や15日前後に発表される消費者物価指数(CPI)、下旬に発表される個人消費支出(PCE)に加え、FOMC後に行われるFRBのパウエル議長の会見の内容などが注目されます。

ここまでご紹介してきた金価格の変動要因はあくまで短期的な要因であり、必ずしも長期的な金価格の変動を説明するものではありません。より長期的な視点からは、金の希少性や貴金属としての価値に加え、国籍を持たない通貨としての評価などが金価格に影響するものと考えられます。

注4:作成日時点の情報をもとにしています。通常、2日間にわたって開催されますが、現地時間の2日目を記載しています(日本時間では翌日)。


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)

ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/12/19
タイトル ピクテ・ゴールド|金への投資~「投資信託」と「ETF」、「現物」の違い タグ
日付
2024/12/18
タイトル ピクテ・ゴールド|ゴールド投資ガイド② 投資商品としての金 タグ
日付
2024/12/17
タイトル 【動画】ピクテ・ゴールド|金、3000ドル突破の条件<塚本 卓治> タグ
日付
2024/12/13
タイトル ピクテ・ゴールド|ゴールド投資ガイド① 金投資の基礎編 タグ
日付
2024/11/27
タイトル 【動画】ピクテ・ゴールド|トランプ2.0による金価格上昇のインパクト<塚本 卓治> タグ
日付
2024/11/07
タイトル ピクテ・ゴールド|トランプ新政権で重要性が高まる金投資 タグ
日付
2024/11/05
タイトル ピクテ・ゴールド|金との組合わせで高める分散投資効果 タグ
日付
2024/10/25
タイトル 【動画】ピクテ・ゴールド|金価格2,700ドルを超えてなお強いトレンドは継続するのか?<塚本 卓治> タグ
日付
2024/09/26
タイトル 【動画】ピクテ・ゴールド|2,600ドルを超え最高値更新のゴールドと更なる円高リスク<塚本 卓治> タグ
日付
2024/09/20
タイトル ピクテ・ゴールド|米国の利下げと金投資における為替ヘッジの活用 タグ
日付
2024/08/23
タイトル 【動画】ゴールド|混乱する金融市場の中で、堅調さを維持する金価格<塚本卓治> タグ
日付
2024/07/31
タイトル ピクテ・ゴールド|金投資における為替との向き合い方を考える タグ
日付
2024/07/26
タイトル 【動画】ゴールド|金価格、最高値更新の3つの理由<塚本卓治> タグ
日付
2024/07/01
タイトル 【動画】ゴールド|今こそ、長期視点でゴールドを見直す<塚本卓治> タグ
日付
2024/05/21
タイトル 【動画】ゴールド|金価格が“再び”最高値更新 さらなる上昇余地は?<塚本 卓治> タグ
日付
2024/04/26
タイトル 【動画】ゴールド|金価格の更なる上昇シナリオとリスク要因 <塚本 卓治> タグ
日付
2024/04/01
タイトル ピクテ・ゴールド|投資タイミングに左右されにくい金の長期積立投資 タグ
日付
2024/03/26
タイトル 【動画】ゴールド|金価格が最高値更新 今は投資タイミングか?<塚本 卓治> タグ
日付
2024/02/28
タイトル 【動画】ゴールド|金利上昇にもかかわらず 底堅い動きを示す金価格<塚本 卓治> タグ
日付
2024/02/15
タイトル ピクテ・ゴールド|中央銀行の積極的な金購入が継続 タグ
日付
2024/02/09
タイトル ピクテ・ゴールド|長期で物価を上回る上昇を見せてきた金価格 タグ
日付
2024/01/26
タイトル 【動画】ピクテ・ゴールド|2024年 米国の金融政策の転換と、 中央銀行による金購入が 金価格にとってプラスの要因に <塚本 卓治> タグ
日付
2024/01/12
タイトル ピクテ・ゴールド|2024年の金価格を支える主な要因 タグ
日付
2023/12/22
タイトル 【動画】ゴールド|ゴールド最高値更新 2024年の 金相場を占う<塚本 卓治> タグ
日付
2023/12/08
タイトル ピクテ・ゴールド|2024年の貴金属市場の見通し タグ
日付
2023/12/01
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい米国株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/11/28
タイトル 【動画】ゴールド|金ETF需要に関する投資環境に転換の兆し<塚本 卓治> タグ
日付
2023/11/10
タイトル ピクテ・ゴールド|米国の利上げサイクル終了後の金価格 タグ
日付
2023/11/08
タイトル ピクテ・ゴールド|金需要を後押しする中央銀行の積極的な金購入 タグ
日付
2023/10/30
タイトル 【動画】ゴールド|これからの金価格、注目のポイント<塚本 卓治> タグ
日付
2023/10/25
タイトル ピクテ・ゴールド|金投資の方法を比較~“投資信託”と“現物” タグ
日付
2023/10/11
タイトル ピクテ・ゴールド|中東情勢の不安定化と金価格 タグ
日付
2023/09/27
タイトル 【動画】ゴールド|「税込み1グラム当たり1万円の金価格」は 高いのか?それとも安いのか?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/09/12
タイトル 【動画】ゴールド|利上げピークアウト後のポートフォリオにおける金の重要性<塚本 卓治>2023.8 タグ
日付
2023/08/31
タイトル ピクテ・ゴールド|過去最高値を更新した円建ての金価格 タグ
日付
2023/08/29
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/07/31
タイトル 【動画】ゴールド|金価格が再び最高値を更新するタイミングはいつ訪れるのか?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/06/27
タイトル 【動画】ゴールド|ゴールドは2,000ドルを超え、最高値を更新するのか?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/06/09
タイトル ピクテ・ゴールド|教養としての金投資 タグ
日付
2023/05/29
タイトル 【動画】ゴールド|金価格2000ドル割れの背景と今後の見通し<塚本 卓治> タグ
日付
2023/05/25
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/05/18
タイトル ピクテ・ゴールド|金需要を後押しする中央銀行の積極的な金購入 タグ
日付
2023/05/01
タイトル ピクテ・ゴールド|米国の利上げサイクル終了後の金価格 タグ
日付
2023/04/25
タイトル 【動画】ゴールド| ゴールド2000ドル越え、この水準をどう見るべきか?<塚本 卓治>2023.4 タグ
日付
2023/04/20
タイトル ピクテ・ゴールド|金投資における為替ヘッジの要否を考える タグ
日付
2023/03/30
タイトル 【動画】ゴールド| 金価格の振り返りと今後の見通し<塚本 卓治>2023.3 タグ
日付
2023/03/28
タイトル ピクテ・ゴールド|金融不安を背景に金価格は11ヵ月ぶりの高値水準に ~今後の見通しと足元の動き~ タグ
日付
2023/02/28
タイトル 【動画】ゴールド|金を取り巻く投資環境 2023年の4つのシナリオと金価格の見通し<塚本 卓治> タグ
日付
2023/02/27
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/02/13
タイトル ピクテ・ゴールド|米ドル指数が下落傾向を示す中、米ドルベースの金価格は反発~今後の見通しと足元の動き~ タグ
日付
2023/01/27
タイトル 【動画】ゴールド|2023年のマクロ経済・金融見通しと金価格の見通し <塚本 卓治> タグ
日付
2022/12/22
タイトル ピクテ・ゴールド|米国の利上げ終了後、金価格はどう動いてきたか~過去のデータで振り返る~ タグ
日付
2022/11/18
タイトル ピクテ・ゴールド|今、金に注目する背景とは ~米国金利と米ドルの上昇に変化の兆し タグ
日付
2022/07/14
タイトル ピクテ・ゴールド|金投資の方法を比較~“投資信託”と“現物” タグ
日付
2022/07/06
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2022/03/28
タイトル ピクテ・ゴールド|高インフレ下の利上げ局面入りで、金価格はどうなる タグ
日付
2022/03/22
タイトル 「有事の金」だけじゃない、いま金に注目する背景とは タグ
日付
2022/02/10
タイトル 利上げ局面における金価格 タグ
もっと見る