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金市場、2020年の振り返りと2021年の見方
2020/12/23

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概要

2021年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により疲弊した世界経済が大きく回復することが予想されますが、①低金利環境の継続、②実質利回りの低下、③米ドル安などが金価格の上昇要因となると考えます。



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2020年、金価格は大きく上昇

3月半ばには世界経済の先行き不透明感から世界的に株式市場が急落する中、手元資金の確保のための換金売りが出たことで、金価格は一時、大きく下落する局面もありましたが、この急落を除いては年を通して堅調な推移となりました。

年明け以降、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への懸念が続き、世界経済の先行き不透明感が高まる中、逃避資産として、金が選好される動きとなりました。加えて、各国・地域の政府や中央銀行が積極的な財政出動や金融緩和策を実施したことなども金価格の追い風となりました。各国・地域の財政収支悪化への懸念、金融緩和による通貨の余剰感から、通貨価値の下落に備える動きが強まり、特に米ドルが下落基調となる中、米ドルの代替資産として金に注目が集まり、8月上旬に1トロイオンス=2,000ドル超をつけるなど上昇の勢いが強まりました。

8月中旬以降は、これまでの金価格の上昇に対し、利益確定の動きが広がったことや、新型コロナウイルスのワクチン開発について米ファイザーや米モデルナなどの医薬品企業が良好な治験結果を発表(12月には英国や米国で接種が開始されました)したことなどを受けて、市場に楽観的な見方が広がったことから金価格は下落し、足元は1トロイオンス=1,900ドルを下回る水準での推移となっています。

2021年、世界経済は大きく回復するも、コロナ以前に戻るには数年を要する

2021年は、パンデミックの影響から世界経済が大きく回復する年となると予想されます。

市場は今、楽観論に支配されていると考えられます。新型コロナウイルスについては、今後数ヵ月以内にワクチン配布が広がり集団免疫にむけ動き出すことで世界経済の回復の見通しが強まっています。

しかし、新型コロナウイルスが経済に残した傷跡は大きく、世界のGDPは4%失われ、世界経済がコロナ以前の水準に戻るまでには数年かかるとみています。その長い年月の中で、2021年はその回復の始まりに過ぎないでしょう。こうしたことを踏まえると、①低金利環境の継続、②実質利回りの低下、③米ドル安などが想定され、金価格にとってプラスに働くと考えます。

①低金利環境の継続


2021年にパンデミックの影響から世界経済が大きく回復するとは予想しています。ただし、GDP成長率の急回復があったとしても、先進国国債が急落(利回りは上昇)する可能性は低いと考えています。

それは景気回復をより確実なものにするためにECBもFRBも、緩和的な金融政策を維持し、経済の自立的な回復を促すとみられるからです。ECBにとってそれは債券購入額の拡大と銀行への低金利融資の継続を意味し、FRBにとってはイールドカーブコントロール(YCC)、つまり特定の利回り目標に債券利回りを固定することを危機対策に加える可能性が高いと考えます。

このため主要国の国債の利回りは低水準で推移するとみられます。

②実質利回りの低下

インフレ率については、中央銀行の目標を下回り続けるものの、力強い経済の成長と商品価格の上昇の組み合わせにより、インフレ期待が徐々に押し上げられると考えています。

一方、2021年の名目国債利回りは非常に緩やかな上昇にとどまり、米10年物国債利回りは1%を大幅に上回らないと予想しており、このことは実質利回りが更に低下する可能性があることを示唆しています。


過去の実績をみると、米国の実質利回りが低下すると金価格は上昇しやすい傾向があります。

③米ドル安


金価格と米ドルは逆相関(米ドルが下がったときに金価格が上昇するという関係)の傾向がありますが、2021年は米ドル安の年になりそうです。

その理由の一つ目は世界経済の同時回復を前にして、米ドルの魅力は薄れていくだろうということ、二つ目は米国の財政赤字の急増と、FRBによる緩和的な金融政策の継続が続くと予想されるため、財政政策・金融政策の両面での流動性の拡大が進む可能性が高いことです。

米ドルの通貨供給量と米ドル・インデックスの推移をみると、世界中の米ドル通貨供給量が急増している一方で、米ドル・インデックスは足元下落傾向にあるものの、依然として米ドルの通貨供給量とはかい離がある状況です(図表2参照)。

そして、米ドルは金利や他の先進国との成長率格差などのファンダメンタルズが示唆する水準より割高な水準にあると考えています。

まとめ

金価格は、景気回復をさらに加速させるニュースや金利が上昇した場合など、価格変動が大きくなる可能性についてはリスク要因として注意が必要と考えます。

一方で、ここまで見てきたように、世界の中央銀行による量的緩和の継続による①低金利環境の継続、②実質利回りの低下、③米ドル安の進展などが金の価格を下支えすると考えます。



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