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米相互関税発表、注目すべき新興国株と投資戦略
2025/04/10

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概要

●相対的に相互関税の影響は限定的な新興国の労働人口増加国
●米国の関税の影響が相対的に少ない国の銘柄に注目
●新興国の経済規模は米国を凌ぎ、新興国の米国への輸出依存度は低下



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■ 相対的に相互関税の影響は限定的な新興国の労働人口増加国

2月半ば以降、米国の景気減速懸念の高まりや、米トランプ政権による関税政策への警戒感などから、投資家のリスク回避の動きが強まり株式市場が下落基調となるなか、米トランプ大統領が、4月2日(現地時間)に発表した「相互関税」が市場の想定より厳しい内容となったことを受けて、世界的に景気の先行き不透明感が高まり、世界的な大幅株安となり、8日にかけて続落となりました。9日には、一部の上乗せ関税を90日間一時停止し、10%の基本税率とすると表明したことを受けて、米国の株式市場は反発し、値動きが大きい展開となっています。

2日発表の「相互関税」の内容は大方の予想を上回り、特に中国(54%(8日に104%、9日145%に))、EU(20%)、日本(24%)、韓国(25%)を含む米国の貿易赤字が大きい主要貿易相手国にはより重い関税が課されました。また、ベトナム、タイ、インドネシアなどのASEAN諸国が予想以上の関税に直面する一方、メキシコやブラジルなどの中南米諸国は懸念されていたよりも低い関税が適用されました。

(※中国は合成麻薬フェンタニル対策で発動した計20%の追加関税含む。9日の数値はホワイトハウスが当初発表の125%を145%に修正。)

追加関税・相互関税の影響に関しては、その国のGDPに占める米国への輸出の割合が高い国ほどマイナスの影響が大きくなります。新興国の労働人口増加国のGDPに占める米国への輸出の割合(2023年)はメキシコなどを除くと2%以下と低い水準です。

■ 当ファンドの投資戦略~米国関税の影響が相対的に少ない国の銘柄に注目

当ファンドでは、新興国の労働人口増加国の株式市場の銘柄について、詳細な分析を行い、バリュエーション(投資価値評価)等を勘案し、中長期的な業績成長が期待される銘柄を選別しています。

国別配分に関しては当ファンドは米関税引き上げの影響が懸念されるアジアの投資比率を低位とし、影響が相対的に小さい中南米や中東・アフリカを高位としています。

【インド】 2024年に総選挙を終え、今後、地方政府においてポピュリスト的な施策が行われる可能性があり、消費関連セクターなどを中心に恩恵を受けるとみています。米相互関税は26%と発表されましたが、同国の対米輸出比率は小さく、経済の影響は相対的に少ないうえ、これらのセクターは影響を受けにくいとみられます。モディ首相はほかの国に先駆けて交渉を始め、米国からインドへのエネルギー資源の輸出の拡大、新たな貿易協定の協議開始などでトランプ大統領と合意するなど協議を始めています。

【ブラジル】 貿易黒字は歴史的な高水準となっており、中国の金融・財政刺激策への期待などもみられるなか、バリュエーションは割安な水準にあることから、銘柄を厳選して投資しています。米相互関税は10%。

【アラブ首長国連邦(UAE)】 2019年に導入された外国人の中長期滞在と不動産所有を認めるゴールデンビザ制度などの恩恵が大きい不動産、金融、航空関連などの銘柄を中心に注目しています。米相互関税は10%。

【南アフリカ】 市場寄りの新連立政権発足後、電力供給の改善が進み、インフレ率も低下し、2024年9月から施行されている年金の早期引き出しや物価を上回る賃金の上昇、デジタル化の進展などを背景に消費が拡大しており、消費関連や金融セクターなどに注目しています。米相互関税は30%と発表されましたが、同国の対米輸出比率は相対的に小さく、同国経済への影響は少ないうえ、これらのセクターはより影響を受けにくいとみられます。

【メキシコ】 交渉により米追加関税を回避する可能性もありえるなか、株価の調整でバリュエーション(投資価値評価)の魅力が高まっていることから、不確実性が解消された後に、株価は大きく上昇する可能性もあるとみています。このため、一定の組入比率を維持しながら、慎重に投資機会を捉えていく方針です。米国移民・麻薬問題を理由に3月4日に25%の追加関税が発動されましたが、メキシコは、報復関税を見送り、米国は除外措置を発表するなど交渉が進んでいます。メキシコ・カナダには90日間停止措置の適用はなく、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の対象外の製品に対する25%の関税と、エネルギーなどに対する10%の関税は引き続き有効だとするものの、USMCAの対象となっている輸入品の大部分は米国の広範な関税措置から除外されています。                             

■ 新興国の経済規模は米国を凌ぎ、新興国の米国への輸出依存度は低下

新興国全体での米国への輸出割合は1999年8月の27%をピークに2024年11月の16%まで低下する一方、新興国域内での貿易は同23%から46%まで拡大し、米国への輸出依存度は低下しています。トランプ1.0下での米中貿易摩擦が悪化した際には、新興国の米国への輸出は横ばいとなる一方、新興国域内への輸出が拡大しました。新興国経済は、世界のGDPに占める割合でみると1999年から2024年までの25年間で20%から41%へと倍近く拡大する一方、米国は29%から27%へ低下し、新興国全体の経済は米国を凌ぐ規模となっており、今後も拡大が予想されています。(出所:国際通貨基金(IMF))

■ 相互関税発表後の当ファンドの基準価額の下落率は相対的に低くとどまる

米相互関税発表後から直近まででみると、新興国の労働人口増加国に投資する当ファンドの基準価額の下落率は相対的に低くとどまりました。

■ 新興国の労働人口増加国の株式市場見通し

新興国経済および株式市場の見通しについては、今後も中長期的に高い成長が期待できるとの見方に変更はありません。一方で、短期的には米国のトランプ政権による関税政策や地政学リスクなどを背景に、株価の変動が大きくなる可能性には留意する必要があると考えます。

こうした中、新興国の労働人口増加国の株式市場は、以下の理由で、底堅く推移する可能性があると考えています。

1)新興国の経済成長性は依然として先進国よりも相対的に高い

2)世界の主要中央銀行は金利を引き下げる余地があり、世界経済を下支えするものと期待される

3)労働人口増加国のなかでは、インド、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカなどの国は相対的に米国への輸出の依存度が小さく関税引き上げの影響が相対的に小さいこと、米国の関税が大幅引き上げとならなかった国は、対象国を回避する貿易の流れの変化などにより、漁夫の利を得る可能性がある 

4)投資対象の労働人口増加国の多くは株式のバリュエーション(投資価値評価)が魅力的な水準

 



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