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- 不確実性の高い市場環境で期待される金の強み
・不確実性の高い市場環境において金価格を下支えする要因は多い
■ 金価格は金融市場が混乱する中で下落したが、価格を下支えする要因は多い
世界の金融市場は、トランプ米大統領が4月2日に発表した「相互関税」が市場の想定より厳しい内容となり、世界経済の先行きに対する不安が強まったことを背景に大きく下落しました。3月末に過去最高値を更新した金価格も、足元では下落しています(米ドルベース、図表1参照)。
一方で、金には価格を下支えする要因が多く存在するため、株式などの主要な資産との比較では、今後、相対的に底堅い価格推移となる可能性があります。
相互関税の実施による米国の景気見通しの悪化に伴い、米国の金利が低下した場合や、これに伴う米ドル安などは、金価格の上昇要因になると考えられます。金は利息を生まない資産であるため、金利の低下は金の相対的な魅力の向上に繋がり、金価格が上昇する傾向があるためです。また、米国やその貿易相手国による報復関税の応酬に伴い、インフレの高進が懸念される中では、希少性などからインフレに対するヘッジ手段として選好される傾向にある金への注目が高まるものと考えられます。
さらに、世界的に保護主義が台頭する中で、防衛費の増額などにより主要国で財政赤字の拡大や政府債務の増加が懸念されていることも、実物資産としてそのもの自体に価値を持つ金に対する需要を高めることが予想されます。一般的に、政府債務の増加は通貨供給量の拡大を伴うことから、米ドルなどの通貨価値の低下要因になる可能性があるためです。加えて、米国が外交政策により覇権国家としての威信を低下させることが懸念されることも、米ドルに対する信認の低下に繋がると考えられ、中長期的に金価格が上昇する要因になると考えられます。
■ 過去の金融市場の混乱時に示された金の強み
過去に金融市場に混乱が生じた局面を振り返ってみると、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックの発生直後など、短期的には金価格が株式市場などと同様に下落する場面がありました(図表2参照)。株式市場などの急落を受けて、損失の制限や利益の確定などを目的として資産売却を行う投資家の動きなどが金価格にも影響を与えたと考えられます。しかし、その後の金価格は相対的に底堅く推移し、早期に下落前の水準に値を戻す傾向が見られました。
また、図表3で示した局面毎の価格の変化率を見ると、多くの場合において金価格が米国株式などと異なる値動きをするという傾向が確認できます。このような特性を持つ金の組入れは、世界の金融市場を取り巻く環境が日々変化する中で、資産全体のリスクを低減する手段として注目されます。
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