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- 2021年2月の基準価額動向と運用方針
2021年2月のノアリザーブの基準価額(分配金再投資後)は下落しました。米バイデン政権下での景気刺激策への期待やワクチン接種の拡大などを背景に株式市場は上昇しました。一方、債券は米国の財政政策拡大期待などが影響し下落しました。資産配分は、債券や金の組入れを削減し、キャッシュの組入れを増やしました。
2021年2月の基準価額(分配金再投資後)は小幅下落
2021年2月26日のノアリザーブの基準価額は、前月末比で-24円の9,375円となりました。同期間の主な変動要因は、株式が+92円、債券が-100円、金が-26円、為替が+38円、分配金が-20円でした。基準価額(分配金再投資後)は前月末比-0.05%の下落となっています(図表①参照)。なお、円資産の比率は、前月末より低下し、60.9%となりました。
運用方針:債券や金を削減し、キャッシュの組入れを拡大
当月の投資行動は、債券や金の組入れを削減し、キャッシュの組入れを拡大しました。
株式部分では、金利の上昇圧力が強まる中、公益関連銘柄に多く投資する世界ウォーター関連株式を一部売却しました。一方で、堅調な景気見通しのもとで新興国株式の組入れを引き上げました。その他、投資テーマを分散するため、世界環境関連株式からテーマ戦略株式に一部資金をシフトするなどしました。
債券部分では、社債スプレッドの縮小が一段と進行し、割高感が強まったことなどから世界サスティナブル企業債券を一部売却するなどしました。
ファンドのリスク(価格変動)は新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下
ノアリザーブの設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきました。当ファンドのリスク(価格変動)水準は、新型コロナウイルスの影響で金融市場の価格変動が大きくなった3月以降、高い水準にありましたが、足元ではほぼ新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下しています(図表②参照)。
ノアリザーブと主要資産の騰落率
2021年2月は、世界の株式市場は続伸しました。一方、世界国債やドル建て新興国国債は下落しました。
このような状況下、ノアリザーブの基準価額(分配金再投資後)は小幅下落となりました(図表③参照) 。
米バイデン政権による景気刺激策への期待、新型コロナウイルス・ワクチン接種の広がり、景気回復期待などを背景に株式市場は上昇しました。一方、債券は米国の財政支出拡大見通しなどを背景に利回りが上昇(価格は下落)しました。金は景気回復期待や米国国債の利回り上昇などを受けて下落しました。
今後の運用方針~現状のリスク水準を維持
今後の運用方針については、概ね現状のリスク水準を維持する方針です。バイデン新大統領の1.9兆ドルの経済対策が米国経済を過熱させるとの見方から、米国の長期金利に上昇圧力がかかっており、その影響が株式市場にも伝播しています。このため、当面は株式ではなく、債券の動向に注視が必要だと考えています。ただし、米国の物価が持続的に上昇するのは来年以降のことと見ており、足下の急激な金利上昇は長続きしないと思われるほか、足下の株価下落もテクニカルな調整に留まる可能性があります。こうした認識に基づき、株式の比率は大きく削減せず、足元の市場環境を考慮し選別的な投資を行っていく方針です。特に金利上昇を受けて投資妙味が高まっている金融セクターなどに注目しています。また、債券利回りの急上昇で、長期債に投資妙味が出てきたことから、デュレーション長期化のタイミングも検討していきます。為替については、ドルの上昇圧力が継続すれば、段階的にヘッジの買戻しを進める方針です。
当面の変動には注意が必要
ノアリザーブは、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。
ワクチンの接種は広がっているものの新型コロナウイルスの感染動向などについては依然として先行きに不透明感があり、株式や為替市場の変動率が大きくなる可能性があります。市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。
株式:春の上昇相場
【景気敏感株や割安株に注目】
コロナ禍の景気後退期を脱しつつある環境下において、株式市場では、地域あるいは業種間の資金移動が予想され、(景気回復の恩恵を享受すると考える)景気敏感株や割安株(バリュー株)が市場をけん引することが予想されます。単なるインフレ懸念というより、金融引き締め観測に起因して債券利回りが上昇基調を辿るとしたら、割安株(バリュー株)よりも成長株(グロース株)のPERに強い下押し圧力がかかるはずです。
【アジアの新興国や日本の株式に引き続き注目】
中国を牽引役とした、力強い景気回復の恩恵を受けて新興国株の上昇が際立っていますが、アジア市場のバリュエーションは適正水準に留まっていると考えています。同地域では、新型コロナウイルスの感染拡大を比較的抑え込んでおり、企業業績についても中長期的な成長が期待されます。
また、世界の貿易量回復の恩恵を受けると考える日本の株式についても引き続き注目しています。日本企業の今年度の増益率予想は、新興国や米国を上回る水準に達しています。
【業種別では、金融セクターの魅力が高まる】
強い経済成長と債券利回りの緩やかな上昇局面では、金融機関の増益が期待されます。債券利回り曲線(イールドカーブ)は、ここ数週間で、スティープ化が進行しており、出遅れていた金融セクターはその他の景気敏感セクターを後追いするように、上昇し始めています。一方、ヘルスケアは(景気変動の影響を受け難い)ディフェンシブ特性を有するため、コロナ後の世界経済の回復期には相対的に軟調な展開が予想されます。
債券・為替:新興国市場に好機
【新興国債券、とりわけ中国国債に引き続き注目】
現地通貨建て新興国債券、特に、人民元建て中国債券には引き続き強気の見方を維持します。国際金融協会(IIF)のデータによれば、1月月間の新興国債券市場への資金流入額が440億ドルに達し、その20%強が中国債券市場への投資だったことを示唆しています。経済成長に鈍化の兆しが見られるなか、中国人民銀行は様子見の姿勢に徹していますが、必要に応じて追加の景気刺激策が講じられ、債券利回りを支えるものと考えます。
また、人民元高による追加的なリターンが期待できることも注目されます。米国のマネーサプライの伸びが中国のマネーサプライの伸びを上回る状況では、対ドルの人民元高の継続が見込まれます。足元でこの格差は、拡大の一途をたどっており、ピクテでは、今後も、人民元高が進行する公算が大きいと考えています。これを受け、現地通貨建て新興国債券への注目を継続します。
【金利上昇を受け引き続き米国国債に注目】
米国30年国債は、名目の利回りが2%を上回り、実質利回りについても、コロナウイルス発生後初めてプラス圏に転じています。そのようななか、年金基金の長期債券に対する需要の拡大が見込まれます。
インフレ率についても、上昇基調にあるものの、少なくとも年内は緩やかな上昇に留まることが予想されます。また、金利スワップ市場が示唆する期待インフレ率も現実的な水準に留まっており、同資産に対する懸念材料にはならないと考えています。従って、2月末にかけて市場は急落しましたが、米国国債は引き続き注目しています。
【米国ハイイールド社債の割高感を警戒】
債券市場のその他のセクターでは、バリュエーション面での割高感が際立つ米国ハイイールド社債に対する慎重な姿勢を維持しています。米国ハイイールド社債利回りと株式益利回りの差が足元では1%以下に縮小しており、コロナ禍前の水準を割り込んでいることから、市場はデフォルト・リスクを過小評価していると考えます。
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