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試金石となるオミクロン型
市川 眞一
2022/01/14

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概要

世界的に新型コロナの変異種であるオミクロン型の感染が急拡大している。ただし、デルタ型などに比べ毒性が弱まり、重症化率は低下している模様だ。日本も感染第6波は避けられないが、ワクチン接種の進捗に加え、軽症者・中等症者向け経口治療薬の効果も期待できる。オミクロン型は、新型コロナ禍を乗り切り、経済活動を正常化する上での重要な試金石になるだろう。



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南アフリカ:確認された毒性の低下

昨年12月28日、南アフリカ国立感染症研究所(NICD)とプレトリア大学の研究グループは、『国際感染症ジャーナル』にオミクロン型が世界で初めて確認されたツワイネ市の大病院における調査結果を発表した。それによると、入院患者の死亡率は既存型の21.3%に対しオミクロン型は4.5%で、ICUでの治療率も入院患者の4.3%から1.0%へ低下している。

南アフリカ全体では、7日移動平均による従来の感染者のピークは昨年7月8日の1万9,956人、死者は同7月25日の417人だった(図表1)。今回の感染第4波では、新規感染者が昨年12月17日の2万3,437人を天井に減少に転じるなか、死者は現段階で今年1月9日の175人が最多だ。同国は2回のワクチン接種を終えた国民が26.9%に止まるが、第4波は感染者の急増に対して重症化が大きく抑制されている。これは、NICDの調査結果をマクロ的に裏付けるデータと言えるだろう。また、イギリス保健安全庁(UKHSA)、米疾病対策センター(CDC)なども同様の研究結果を発表した。

もちろん、WHOが警告するように、毒性が低下しても、強力な感染力で感染者が一気に急増すれば、医療供給体制に綻びが生じるリスクは残る。ただし、昨夏以降、主要国ではワクチンの接種が急速に進んだ。G7に関しては、米国を除く6ヶ国において2回目の接種を終えた人が全国民の70%を超え、日本を含め既に3回目の接種が始まっている。このブースターショットは、オミクロン型の感染抑止に有効のようだ。

さらに、メルクのモラヌピラビルに続き、昨年12月22日、米国食品医薬局(FDA)はファイザーの申請した治療薬、パクスロビドについても緊急使用許可(EUA)を発令した。ワクチン接種に加え、軽症者、中等症者向けの経口治療薬が機能すれば、在宅での療養が可能になり、新型コロナは季節性インフルエンザに近付いて行くだろう。

 

2022年:「ポスト・コロナ元年」へ

昨年10月に感染第5波が収束して以降、日本国内で落ち着いていた新規感染が昨年末から急拡大している。オミクロン型による感染第6波と言え、政府は沖縄、山口、広島の3県に新型インフルエンザ特措法に基づく蔓延防止等重点措置を発動した。東京都、大阪府などでも感染が広がっていることから、今後、5回目の緊急事態が宣言される可能性もある。もっとも、今のところ日本でも重症化率は落ち着いた状態だ(図表2)。

日米欧においては、約2年間に亘り新型コロナ禍が続くなか、経済が大きく落ち込んだのは、基本的に第1波の2020年春だった。それ以降、リモート化などにより社会・経済活動が維持され、景気もトレンドとしては拡大基調を維持している。ワクチン及び治療薬の普及によりオミクロン型を乗り切れば、経済は「ニューノーマル」へ向け正常化するだろう。2022年は「ポスト・コロナ元年」となる可能性が強いのではないか。


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市川 眞一
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。


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