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新興国経済および株式市場、2020年の展望
2019/12/17

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概要

2019年の新興国経済および株式市場は、米中貿易戦争を巡る動向や世界的な景気減速懸念の高まりなどに翻弄されました が、2020年についてはより明るい見通しが持てると考えています。インフレ率が抑えられている状況も、追い風となると考えられ ます。新興国株式の観点からは、米中対話の進展や金融緩和などを受けて、反発が期待できると考えています。



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成長率の回復が見込まれる 2020年

新興国経済は2019年、やや精彩を欠いた成長率にとど まりましたが、2020年には多くの国で成長率は再び勢いを 取り戻すものと期待されます。

特に、トルコはこれまで1年半あまりの間、非常に厳しい状 況におかれていましたが、2020年は新興国の中でも最も大 きく、経済成長率が回復するものと予想されます。また、ア ルゼンチンについても、依然としてマイナス成長が予想され ているものの、2019年に比べるとマイナス幅は縮小するもの とみられます(図表1参照)。

明らかにこの2カ国は、依然として苦しい経済状況の下に あり、そこからの回復にすぎないわけですが、しかしながら、 新興国全体でみても、より明るい見通しが持てると予想され ています。

ピクテでは、2020年の新興国各国の経済成長率は、ア ルゼンチン以外の各国でプラス成長を見込んでいます(図 表2参照)。

「アジア」が引き続き新興国の 成長エンジン

新興国をさらに地域別に掘り下げてみていくと、アジア(除 く日本)地域が、中国の経済成長率がやや減速するとしても、 引き続き新興国経済全体にとっての成長エンジンであると みています。

南米、東欧・中東・アフリカ地域についても、成 長率の改善は見込まれるものの、これら地域の成長率はア ジア地域の成長率の半分程度に留まります(図表3参照)。

十分コントロールされた インフレ率


2020年の新興国経済にとってのもう1つの追い風は、イ ンフレ見通しです。アルゼンチンやトルコを除いた各国では、 インフレ率は低水準に抑えられると見込まれています(図表 4参照)。インフレ率が低水準に留まっていれば、追加的な 金融政策などによる景気下支えも機動的に行うことが可能 です。

新興国の輸出は米国から 中国へのシフトが進む?

新興国の輸出に占める世界第1位と第2位の経済大国で ある米国と中国の割合の推移をみたものが図表5になります。 米中通商問題が依然として残る中で、新興国の対米輸出と 対中輸出の差は縮小、あるいは逆転することがあるのでしょ うか?ピクテでは新興国の対米輸出と対中輸出の割合の差 は縮小し、中国は新興国各国にとって輸出先としての存在 感を増していくものとみています。

新興国株式投資へのインプリケーション: 米中対話の進展、金融緩和などにより反発が 期待される

2019年の新興国株式市場は、米中貿易戦争を巡る動 向や、世界経済の先行きに対する見方などから、値動きが 大きい1年となりました。2020年については、米中通商協議 の進展などによる緊張緩和や、非常に緩和的な金融政策 (図表6参照)などの景気下支えのための政策により、反発 が期待できると考えています。

加えて、新興国と先進国の製造業景況感調査の動向を 比較すると、新興国が相対的に良好な状況となるなど、格 差が既に現れています。しかも、足元の格差は2013年以来 の大きな差となっています(図表7参照)。


以上のような状況を総合的に勘案すると、新興国の中で も特に、テクノロジー関連の製造業が集積するアジア(除く日 本)地域の投資魅力が高まっていると考えています。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。)


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