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新型コロナウイルスで株価下落、過去の急落時との比較
2020/03/13

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概要

新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大する中、世界経済の先行き懸念が高まっており、世界の株式市場は大きく下落しています。今回の株価下落を、過去の急落時と比較してみました。



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米国株式は過去、何度か急落

新型コロナウイルスの感染拡大を受け世界経済の先行き不透明感が高まる中、世界の株式市場は大きく下落しています。

米国株式の代表的な指数であるS&P500は2020年2月19日の史上最高値から3月9日までの13営業日で18.9%下落しました。

米国株式は、何度か調整をはさみながらも、長期的には堅調に推移してきました。しかし過去を振り返ってみると、今回のような短期的な株価急落は、何度も発生しています。

S&P500の13営業日騰落率の推移を見ると、1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショックなどの際に、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受けた株価急落に匹敵するような下落を記録しています(図表1、2参照)。

2000年代初頭のITバブル崩壊の際は、2001年の米国同時多発テロやエンロンの破綻、2002年のワールドコムの破綻などもあり複数回の急落を記録しました。またリーマン・ショックの際には、世界的な金融システム不安と需要の後退を背景に、2008年9月から2009年3月にかけての短期間に急落を繰り返しました。

 

米国株式同様に、日本株式も過去に急落を経験

一方、日経平均株価は2020年2月21日から同3月12日の13営業日で20.6%下落していますが、過去の動きを見ると日経平均株価はS&P500よりも多くの急落を経験しています(図表3参照)。


 

トリプルショックに警戒

過去、株式市場は何度も、様々な理由で急落を繰り返してきましたが、金融システムへの不安や経済への影響が大きくなった際には、株価の急落が短期間に複数回にわたり発生することがあります。

今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大については、工場の生産能力の低下、サプライチェーンや交通網の遮断など供給面での影響(供給ショック)への懸念が株価の下落に繋がりました。

しかし今後は需要面での影響(需要ショック)や金融システム面での影響(金融ショック)に発展するリスクを考慮する必要があるかもしれません。

新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して個人が消費を抑制するだけでなく、企業も設備投資を控えるようになれば、コロナショックは需要ショックに広がる可能性があります。さらに、中小企業を中心に資金繰りが厳しくなれば不良債権が増加、金融機関の経営も圧迫され、資金調達環境が全般的に悪化すれば金融ショックも引き起こす可能性もあります。


仮に3つのショック(供給ショック、需要ショック、金融ショック)が同時に起こった場合、株価に大きな影響を与える可能性もあることから、動向を注意深く見ていく必要があると考えます。


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