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グローバル株式市場の振り返り(2023年10月) - ファクターとセクターの観点から
2023/11/08

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概要

10月のグローバル株式市場をファクターとセクターの観点から振り返ります。



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■   ファクター

世界の株式市場は、月前半は米金融当局者の発言を受けて年内の追加利上げが見送られるとの観測などから米国長期金利が低下したことなどを背景に、上昇しました。しかし月半ば以降は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化し地政学リスクの高まりが意識されたことに加え、住宅関連などの良好な米国の経済指標の発表やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言などを受けて米国長期金利が上昇したこと、欧州や中国の景気先行き懸念、まちまちな企業決算などが重しとなり、株式市場は反落し、月間でも下落となりました。

こうした中で、テクノロジー関連の銘柄の多いクオリティ、株価の変動の比較的小さい銘柄の多い低ボラティリティーが相対的に下落幅が小さかった一方、セクター内でバリュエーションの低い銘柄からなるエンハンスト・バリュー、小型株の値動きの影響を大きく受ける均等配分が苦戦しました。

過去1年では、クオリティエンハンスト・バリューが堅調だった一方で、モメンタム低ボラティリティーが苦戦しました。

                                                                                                                                                                                                                                                                                       

また、10月はいずれも相対的に大型株が小型株より、グロースがバリューより優勢でした。過去1年でも大型、グロースが相対的に優勢でした。

 

■   セクター

10月は比較的景気変動の影響を受けにくい公益事業が小幅に上昇したほか、生活必需品情報技術が小幅な下落にとどまりました。一方、エネルギー、資本財・サービス、一般消費財・サービスなどが苦戦しました。

過去1年では、コミュニケーション・サービス、情報技術が大きく上昇しました。一方、金利上昇や金融不安による資金調達や、主に商業用不動産の市況への影響が懸念された不動産のほか公益事業ヘルスケアも苦戦しました。



                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

 

ファクターとは

ファクターとは、株式や債券など資産や個別銘柄のリターンを過去、長期にわたり生み出してきたとされるリターンの源泉です。リターンやリスクの要因を説明する共通の要因(特性)のことです。ここでは、以下の主なファクターを獲得するように作られたMSCIの各指数を用いて分析しています。

 

均等配分:グローバル株価指数(時価総額基準)の採用銘柄を均等配分で投資した場合のパフォーマンスを示す。小型株の構成比が時価総額基準の指数に比べて高くなる傾向にある。

モメンタム:過去6ヵ月、12ヵ月など過去において、パフォーマンスのよかった銘柄。(使用している指数では、構成銘柄は通常年2回のペースで見直される)

エンハンスト・バリュー:各セクターの中で、利益、資産、キャッシュフローの観点で株価が割安な銘柄。

高配当:相対的に配当利回りの高い銘柄。

クオリティ:利益率、財務体質、業績の安定性の点で優れている銘柄。

低ボラティリティー:ポートフォリオのリスクを最小化することを目的に最適化した銘柄からなるもので、株価のボラティリティー(変動)やベータ等の低い銘柄が多い。

大型株、小型株:時価総額が相対的に大きい銘柄、小さい銘柄。

グロース:業績の成長性の高い銘柄。

バリュー:株価の割安な銘柄。


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