Article Title
2023年7月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/08/07

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

7月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で上昇となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



Article Body Text

2023年7月の新興国株式市場

新興国株式市場は月初、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨でタカ派的な内容が確認され、利上げサイクルの長期化懸念が再燃したことなどを受けて下落しました。その後、中国から発表された4-6月期国内総生産(GDP)成長率などの経済指標が予想を下回ったことで、景気刺激策への期待が高まったほか、米インフレ率の鈍化を受けて米利上げサイクルが終了に近づいているとの見方などが追い風となり、上昇に転じました。月後半も、引き続き中国の景気刺激策への期待や、中国当局のテクノロジー企業に対する規制緩和姿勢を受けて中国のインターネット関連銘柄が大幅上昇となったことなどから、上昇基調が続き、月間でも先進国株式を上回る上昇となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、中国が景気刺激策への期待や、当局のテクノロジー企業への規制緩和の兆しなどを受けて、相対的に大きく上昇しました。南アフリカは、金融セクターなどを中心に上昇しました。インドは、月後半はやや失速したものの、月前半には良好な企業決算の発表などを受けて上昇し、月間でも上昇となりました。韓国は、直近四半期決算で半導体メモリー需要低迷により減収・減益となった半導体銘柄を中心に情報技術セクターが低調であった一方、好決算を発表した素材セクターの銘柄などがけん引し、上昇しました。台湾は、主力の情報技術セクターにおいて半導体銘柄は低調であった一方、AI(人工知能)関連銘柄が大幅上昇となったことがけん引し、市場全体でも上昇となりました。ブラジルは、最大の貿易相手国である中国の景気刺激策への期待などが追い風となり、素材セクターなどを中心に上昇しましたが、相対的に小幅な上昇率にとどまりました。

セクター別(現地通貨ベース)では、全セクターが上昇となりましたが、特に一般消費財・サービスの上昇率が大きくなりました。一方、情報技術のほか、公益事業や生活必需品などの上昇率は相対的に小幅にとどまりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。また、インフレの伸び率の鈍化を受けて、米国の利上げサイクル終了が視野に入りつつあることは、一段の米ドル高の可能性を後退させ、新興国市場にとっても追い風となると考えられます。

一方、ゼロコロナ政策終了後の中国経済の回復過程は平坦な道のりではない模様です。また、中国当局の政策動向や、米中関係などに不透明要素も多く残ります。しかし、こうした不透明要素が解消していけば、良好な投資機会が訪れる可能性があるとみています。

さらに、アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)


●当資料はピクテ・グループの海外拠点からの情報提供に基づき、ピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集し、作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。




関連記事


2024年7月の新興国株式市場

持続可能で再生可能な未来に貢献する建物

中央銀行はなぜ金を保有するのか?

2024年6月の新興国株式市場

新興国市場:メキシコ初の女性大統領~選挙戦の後の株価調整は中長期的な投資機会とみる

イベント・ドリブン戦略に好機を提供するアジアの肥沃な土壌