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- 世界的な「働き方」の変化の流れ
多くの人が職を離れるなど、世界的に人々の「働き方」は大きく変化しています。新型コロナウイルスの世界的大流行が、こうした変化を加速させましたが、究極的には人口動態や社会情勢の変化、技術革新などの影響が大きく、中長期的にみても趨勢的な流れであるとみています。
大退職時代?それとも大転職時代?
人々の「働き方」は、この2~3年で劇的な変化を遂げています。とりわけ、自発的に退職する人が急増していることは注目に値します。これは、新型コロナウイルスの世界的大流行にきっかけに、人口動態や社会情勢の変化、技術革新のなどが相俟って、人々の価値観が変化し、自身の働き方を改めて考え直す機会に直面したためだと考えられます。
過去を振り返り、これまでとは違ったことができないかを真剣に考える人が増えています。これは決して新しい現象ではなく、これまでもみられたものですが、新型コロナウイルスの世界的大流行を機に、人々の間で急速に広がったとみられます。
また、政府の給付金やその他の景気刺激策を受けて、家計の貯蓄が増加したことも一因と考えられます。貯蓄の増加を背景に、景気回復後も復職しなかった人は、特に55歳以上の年齢層に多くみられます。
一方、学び直したい、或いは、慈善活動を始めたいと考える人も少なくないと考えられます。
教育を受けることは生涯を通じた目標になりつつありますが、(学校等で)正規の教育を受けるというよりも、様々な資格の取得を目指す人が増えています。法律や経営学等の専門職につながる教育に対しては、関心が薄れている模様で、実際に、法科大学院やビジネススクール等の大学院の入学者数は減少傾向にあります。または、配水管工事や木版画制作等、手先の器用さを活かした仕事をしようと考える人もいるようです。
こうした流れの中で、人々は、1つの雇用主に長期的に雇われ続ける働き方から、有給・無給の仕事を組み合わせた働き方ができるようになりました。
企業は、働く人に魅力ある職場環境の提供を迫られる
労働市場はひっ迫しており、企業は従業員を惹きつけるため、これまで以上に柔軟な対応が求められると考えられます。多くの企業が従業員の働き方改革に向けた実証実験を行っており、自宅勤務以外にもより柔軟な働き方を認めることもしばしばです。コロナ前の状況に戻すことを決めた最高経営責任者(CEO)がいるとしたら、実に勇気があると言えるかもしれません。
また、これまで以上に多様な職務に自動化が導入されていくものと考えられます。人間が担うのはより専門性を要する仕事で、日常業務はロボットが引き継ぐ(弁護士や会計士などのような専門職においても)公算が大きいと考えられます。
より快適なオフィス環境を整えることも必須です。メンタリングやコーチングを通じて効果的な指導が得られること、同僚と会うことによってよりよい人間関係が築けること、よりよいアイデアを生み出すことなど、様々なことが考えられます。一方で、自宅勤務の利点には、通勤時間が無くなること、仕事を中断させられることが少なくなること、オフィスよりも快適な環境で仕事ができることなどが挙げられます。
足元のインフレは気がかり
人々の働き方の変化は趨勢的であるものの、足元のインフレが状況をより複雑にするかもしれません。失業率が異例の低水準に留まり、求人数が求職者数を上回る現状では、従業員が雇用主よりも有利な立場にあるかもしれません。しかし、従業員組合が結成されない限り、従業員が有利な状況の効果は、十分には得られないでしょう。物価の上昇によって、労働者は所得の補填や所得を増やす必要性が増すため、甘んじて望まない仕事を受け入れ、長時間労働を強いられることにもつながりかねません。さらに、インフレを抑え込むため、米国をはじめ世界の主要中央銀行が金融引き締めに動いていますが、これによって企業の事業への投資が冷え込めば、雇用の機会が失われることも懸念されます。
中長期的にみれば、「働き方」の変化の流れは止まらない
しかし、働き方のあり方が、これまでになく大きく変わった今、逆戻りする可能性は低いとみられます。
人々の働き方が大きく変化する中で、様々なスキル習得や向上に向けた様々な教育コースの開発や、遠隔学習や遠隔勤務を可能とする技術の進展が、よりいっそう求められる時代になっています。こうした分野で活躍する企業の株式への投資は、中長期的に有望であると考えられます。
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