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グロイン1年 | 運用の振り返りと市場のポイント
2024/05/01

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概要

● 2024年1月~3月のピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型) (以下、当ファンド)の基準価額は、欧米をはじめとした多くの国でインフレ率が鈍化するなか、政策金利引き下げ期待が高まっていることなどを背景に、上昇。
● 「グリーンシフト」を目指す公益企業は中長期的な成長が期待され、株価の調整は中長期的な投資機会になるとみる。



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■ 当ファンドのパフォーマンス

 

■  パフォーマンスの変動要因

【2023年4月~2024年3月(過去1年間)】

当該期間でパフォーマンスへのプラス寄与度が大きかった主な銘柄はPSEG(米国、総合公益事業)、サザン(米国、電力)、PG&E(米国、電力)などでした。PSEGは、2023年第3四半期の決算内容が良好だったことや、送電・配電ビジネスへの投資額の増加を強調した投資計画を発表したことなどを背景に上昇しました。サザンは、遅延が懸念されていた同社の新設発電所の完成目標には変更はないことが発表され、また設備投資計画を上方修正したことに加えて、2023年第4四半期の決算内容が好感され、上昇しました。PG&Eは、過去2年間の山火事リスク軽減対策の進捗状況と今後の計画を発表したことや、2020年の山火事賠償責任に関する和解の成立が好感されました。また送電線の地中化計画のために連邦融資を申請したことや、経営陣が2024年のコスト管理などについて強気の発表をしたことなども評価され、株価が上昇しました。

一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、ネクステラ・エナジー(米国、電力)、RWE(ドイツ、独立系電力・エネルギー販売)などでした。ネクステラ・エナジーは、同社子会社が金利の上昇を背景に配当成長率見通しを引き下げたことで、株価が大きく下落しました。RWEは、2024年に入り欧州の電力価格が下落したこと、また電力価格下落を受けて2024年の収益見通しをレンジの下限に引き下げたことなどを背景に下落しました。また、デンマークの電力銘柄も金利上昇、税額控除の変更などを理由に、米国の洋上風力発電開発に関連する減損処理が必要であると発表したことなどにより株価が下落しました。

【2024年1月~3月(過去3ヵ月)】

当該期間でパフォーマンスへのプラス寄与度が大きかった主な銘柄は、PSEG、エクセロン(米国、電力)などでした。PSEGは、2024年第3四半期の決算内容が良好だったことや、送電・配電ビジネスへの投資額の増加を強調した投資計画を発表したことなどを背景に上昇しました。エクセロンは、決算発表の場で公表した今後の資本計画や1株当たり利益(EPS)の見通しが好感され上昇しました。

一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、RWE、SSE(英国、電力)などでした。RWEは、2024年に入り欧州の電力価格が下落したこと、また電力価格下落を受けて2024年の収益見通しを引き下げたことなどを受けて下落しました。SSEは、2024年年初の欧州電力市場の低迷や、悪天候による再生可能エネルギーの出力低下や新規プロジェクト開発への悪影響が懸念されたことなどを背景に下落しました。

 

■ 2024年1月~3月(過去3ヵ月)の投資行動

当該期間の売買に関しては、今後の積極的な投資計画や長期の1株当たり利益(EPS)予想の見通しが明るい米国の電力銘柄、バリュエーション(投資価値評価)水準が魅力的で、また当該期間中に配当金を引き上げた米国の電力銘柄をそれぞれ買い増しました。PSEGは、2023年第3四半期の決算内容が良好だったこと、送電・配電ビジネスへの投資額の増加を強調した投資計画の発表などを評価して買い増しし、組入比率を引き上げました。

一方、昨年の株価下落から株価が回復したデンマークの電力銘柄については、今後のプロジェクトや資金調達計画の不透明感から、1月に全売却しました。またリスクが増大したとみられる米国の電力銘柄や水道銘柄などを一部売却したことに加え、株価が上昇したスペインの電力銘柄を一部売却し、組入比率を引き下げました。

■ 今後の見通し、運用方針

世界公益株式は長期金利の上昇などを背景に、年初来相対的に軟調に推移してきました。しかし、欧米のインフレ率は鈍化し、政策金利引き下げ期待は高まってきています。また、世界の公益企業の業績見通しは引き続き良好である中、これまでの株価の調整で世界公益株式全体の株価収益率(PER)は過去平均や世界株式と比べて低い水準となっており、投資妙味があるとみています。

こうした環境下では、より強固なバランスシートを持つ企業や、物価の変動の影響を受けにくい規制下の公益企業は、相対的に、将来の収益見通しの確実性が高く、配当や利益の安定が期待できます。このため、物価や金利の変動、景気後退懸念などによる株価の調整は、中長期的な投資機会になるものとみています。

当ファンドでは、米国の規制下事業の比率の高い銘柄は、グリーンシフトによる安定的な成長が期待されることに加え、収益見通しが安定していることから、組入れを高位にしています。一方、市場の変動の影響を相対的に受けやすい欧州の電力銘柄や非規制下の事業比率の高い銘柄などの組入比率を低位にしています。

■ 中長期保有に当たってのポイント

中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益企業の事業環境は良好との見方には変わりありません。

ウクライナ危機をきっかけとしたエネルギー安全保障問題などを背景に、主要国・地域の脱炭素化に向けた政策強化の動きが進展しています。米国ではインフレ抑制法(IRA)、欧州ではFit for 55(温室効果ガス削減政策)やリパワーEUなどのクリーンエネルギーへのシフト(グリーンシフト)を促す政策が施行されています。これらの動きは、風力、太陽光、水力などのクリーンエネルギー発電の拡大やこれらの発電を支えるための送電網の拡大を後押しするとみられます。

当ファンドでは、公益企業のESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを重視し、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、グリーンシフトを促していきます。主要国・地域のクリーンエネルギー政策強化の動きは、グリーンシフトを目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。

 

(以下、当該期間の注目すべきトピックについて解説します。)

 

■ 世界公益株式は足元では世界株式を上回って上昇

世界の公益株式は、足元1ヵ月間(2024年2月15日から3月15日)で、他の業界や資産に比べて上昇率が高くなり、世界株式を上回りました。この期間、上昇率が高かった資産は商品指数で、それに続いて世界公益株式、世界バリュー株式、新興国株式など、商品価格と連動する傾向がある資産となりました。特に、公益株式は、商品価格の変動が発電所などの資産価値や電力価格などと連動し収益に影響するため、商品価格の上昇が株価の上昇要因の一つとなっていると考えられます。

最近の商品価格は、ウクライナや中東の戦争による地政学リスクの高まり、輸送コストの上昇、エルニーニョ現象による食品価格の高騰などを背景に上昇しています。景気の先行き不透明感が高まるなか、今後、景気減速となれば商品需要が減少し、商品価格の下押し材料になる可能性も考えられます。一方、米国をはじめ多くの国では高騰していたインフレ率は大幅に低下し、金融政策の引き締めが終わりに近づいていることに加え、主要な石油産出国の政治的・地政学的な動きや、国家安全保障に関連したサプライチェーンの強化のための政策による経済の分断から、供給面の問題で商品価格がさらに上がる可能性もあると考えられます。

 

■ 商品価格の上昇は公益株式の追い風になるとみる

商品価格を世界公益株式の世界株式に対する相対パフォーマンスに1年先行させたグラフが下記です。

過去の傾向としては、商品価格(1年先行)と世界公益株式の世界株式に対する相対パフォーマンスが同じような動きをしていました。つまり、商品価格が上昇するとその後、公益株式のパフォーマンスが世界株式のパフォーマンスを上回って推移し、商品価格が下落するとその後、公益株式のパフォーマンスが世界株式のパフォーマンスを下回って推移してきたということを示します。

商品価格の先行きは不透明ではあるものの、2020年4月あたりをボトムに上昇傾向となっていることや、世界公益株式が世界株式から大きく出遅れていることなどを踏まえると、公益株式への注目が高まる可能性もあると考えられます。

 

■ 世界公益企業の業績見通しも底堅い

加えて、世界公益株式の1株当たり利益(EPS)予想は底堅く推移しており、世界公益株式の株価の下支え役として期待されます。

 

■ PERは過去平均や世界株式と比べて割安な水準

2024年3月15日時点の世界公益株式の予想株価収益率(PER)は14.2倍と、過去平均15.2倍や世界株式18.6倍と比べて低い水準にあり、世界公益株式は歴史的にも相対的にも割安感が高まっています。商品価格の動向やこうした割安感などから世界公益株式投資の魅力が高まっているものと考えられます。現在は中長期的な投資の投資機会と考えられます。

 

 

 

 



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ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型)



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