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米食品医薬品局(FDA)の新薬承認環境を考える
2020/08/31

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概要

2020年8月、米食品医薬品局(FDA)が2つの新薬候補を未承認としたことが注目を集めました。バイオ医薬品株式の株価動向に大きな影響を与える米国の新薬承認の環境について説明しています。



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驚きで受け止められた2つの新薬の未承認

バイオ医薬品株式にとって、新薬の承認動向は株価に大きな影響を与える要因のひとつとなっています。

米国食品医薬品局(FDA)による新薬の承認は近年、堅調に推移しており、2020年についても8月26日時点で37件と高水準を維持しています。(図表1参照)

このような環境下、8月19日に承認期待の高かったギリアド・サイエンシズ(米国)の関節リウマチ治療薬とバイオマリン・ファーマシューティカル(米国)の血友病Aの遺伝子治療の申請が追加のデータを求められ承認されなかったという事実は市場では驚きで受け止めら、両社の株価の下落要因となりました。

承認に至らなかった背景には、米FDAが安全性について過度に心配していることがある可能性があります。

 

「満たされていないメディカルニーズ」がポイント

現在、米FDAの判断には有効な治療薬が既に存在するかどうか(「満たされていないメディカルニーズ」の存在の有無)が重要な材料のひとつとなっています。

今回、承認を得られなかった両治療薬候補に対するメディカルニーズは、それほど重大ではないと判断された可能性があります。


ギリアドの関節リウマチ治療薬候補には既存薬よりも優れた治療法になる可能性はあるものの、既存治療薬も多いことからメディカルニーズが非常に高いわけではありません。一方、精巣毒性などのリスクなどについての懸念から追加のデータの提出が求められています。

またバイオマリンの血友病A遺伝子治療についても、ロシュ・ホールディング(スイス)のヘムライブラなど症状をコントロールできる既存薬が存在し、非常に高いメディカルニーズがあるわけではないため、米FDAは追加のデータを求めたものと考えます。

 

「満たされていないメディカルニーズ」を満たす治療薬候補は多く存在

今回の2治療薬候補の未承認だけで、米FDAの新薬承認環境が変わったと判断することは早計と考えます。

世界には有効な治療薬や治療法が存在しない疾患は多くあります。患者数の少ない希少病やがん、アルツハイマー病なども「満たされないメディカルニーズ」が大きな領域と言えるでしょう。


世界のバイオ医薬品企業は、最新の技術などを活用し「満たされないメディカルニーズ」を満たすような革新的な治療薬の研究、開発を積極的に進めており、このことは中長期的なバイオ医薬品株式の成長要因になるものと考えます。


個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、医薬品についてもあくまで参考として紹介したものであり、その医薬品を推奨するものではありません。


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