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経済学のキホン① ~経済とは?①~
2024/01/11

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概要

人間社会を形成するモノやサービスの生産・分配・消費活動を分析、研究する経済学に触れることで複雑化する金融経済をより深く理解できるようになることが期待できます。




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■経済の意味と経済学の目的

このシリーズでは、「経済学のキホン」と題し、経済思想史※1を中心とした経済学についてご説明していきます。初回の今号では、経済学の定義や目的、また、よく耳にする経済用語についてご説明いたします。まず、そもそも経済という言葉は中国の古典に登場する「経世済民」という言葉が語源ですが、現代においては「人間の生活に必要な財(モノ)やサービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される社会関係。」という意味で用いられます(図表1)。よって、経済学とは、モノやサービスの生産・分配・消費活動を分析し、どうすれば豊かでよりよい社会を形成することができるか、限りのある資源をどのように活用していくべきかを研究する学問だといえます。一方、経済学には様々な理論や学派が存在し、専門用語も多いため、難しく感じる方も多いでしょう。しかし、先述の通り、本来の目的を考えると、経済学の研究対象は私たちの生活に密接に関わるものが多く、経済学に触れることで金融経済※2に関するニュースへの理解度も深まることが期待できるといえます。

※1 経済の基礎を成す考え方の変遷  ※2 金融が関連する経済活動のこと

図表1:経済のしくみ


※上記はイメージです。


■重要な経済用語① 「市場」、「需要・供給」

次に、日常でよく見聞きする経済用語について重要なものをいくつかご紹介いたします。1つ目は「市場」です。市場とはモノやサービスが取引される際の価格や数量を決める場所(特定の場所を指すものではありません)を意味し、基本的に生産・分配・消費はこの市場を通して行われることになります。当然、取引には常に買い手と売り手が存在し、2者間の交渉で価格や数量を決めることになります(図表2)。また、この時、買い手が求めるモノ・サービスの総量を「需要」、売り手が市場に提供できるモノ・サービスの総量を「供給」といいます。一般的に供給が需要を上回れば価格は安くなり、その逆は価格が高くなることにつながります(図表3)。野菜や果物を例に考えてみましょう。野菜や果物には「旬」な時期が存在し、その時期になると収穫量が増えるため、市場への供給量が需要量以上に増え、価格は安くなる傾向にあります。一方、「旬」の時期以外には収穫量が減り、市場への供給量も減るため、需要量が供給量を上回り、価格が上がる傾向にあります。需要を上回る供給ができていないといえます。
 


図表2:市場のしくみ


※上記はイメージです。

図表3:供給・需要と価格の一般的な関係

※上記はイメージです。


上記で示した需要・供給の関係性については「需要曲線」と「供給曲線」の2つの曲線を用いて図示することができます(図表4)。需要曲線は買い手(消費者)の、供給曲線は売り手(生産者)の行動を示し、グラフの縦軸に価格を、横軸に数量をとることでそれぞれの行動の違いを理解することができます。たとえば、供給する側からみると(供給曲線)、価格が安い時には供給量が低く、価格が高くなると供給量が増えていることがわかります。需要する側(需要曲線)はその逆を示します。当然、生産者はより高い値段でより多く販売したい、消費者はより安い値段でより多く消費(購入)したいと考えるため、この2つの曲線の違いはごく自然のことだといえます。また、この2つの曲線が交わる点を均衡点といい、買い手と売り手の希望する価格が一致することを示します。つまり、この均衡こそが、市場を通じたモノやサービスの価格決定メカニズムであり、この価格を均衡価格といいます。また、需要曲線と供給曲線は常に同じ位置にあるわけではなく、様々な要因の変化で、それぞれ左右に動く(シフトする)と考えます。これにより均衡価格は変化するため、双方の曲線をシフトさせる要因の特定も重要となります。主な要因については図表4に記載をしておりますので、ご参考ください。


図表4 :需要曲線と供給曲線



※上記はイメージです。


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