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経済学のキホン③ ~経済とは?③~
2024/02/08

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概要

国全体の経済規模やその成長率を捉えるGDPについて理解を深めることは経済学を学習するうえで非常に重要です。






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■重要な経済用語④ 「GDP(国内総生産)」


前回に続き今回も、よく見聞きする経済用語をご紹介します。まず、国全体の経済規模を把握するために欠かせない「GDP」についてご説明します。経済学のキホン②で、政府の財政政策と中央銀行の金融政策により、景気をコントロールし、経済の安定した成長を図っていることをご説明しました。そこで、実際に経済が成長しているかどうかを確認する重要な指標がGDP(Gross Domestic Product、国内総生産)です。GDPは1年間に国内注1で生産されたモノ(最終財)とサービスの付加価値を合計したもので、付加価値は、簡単にいえば、さまざまな経済活動から得た利益を指します。図表1で具体的にみてみましょう。たとえば、漁師、魚屋、定食屋で成り立つAという国があるとします。A国の経済活動は、①漁師が魚を獲って魚屋に販売する、②魚屋が仕入れた魚を定食屋に販売する、③定食屋が調理して焼き魚定食を販売する、の3つが存在します。①~③の経済活動において、漁師、魚屋、定食屋は販売額から原価を差し引いた金額をそれぞれ利益として計上するとします。それぞれの利益はA国における付加価値となり、それらの総合計額がA国のGDPとなります。また、GDPは1人あたりGDPの金額に人口を乗じて計算することができます(図表2)。A国の場合、1人あたりGDPは9,000を漁師、魚屋、定食屋の3人で除した3,000となります。経済が成長するということは、GDPが増えるということであり、そのためには生産性を高めるなどして1人あたりGDPを増やすか、人口が増えるかのどちらかが大きな要因となります。

注1:国外の売上(海外支店等の売上)から生み出される付加価値は含みません。

図表1:GDPと付加価値


※上記はイメージです。

図表2:GDPと付加価値




■重要な経済用語④ 「名目GDP」、「実質GDP」、「GDPデフレーター」


国全体の経済規模を示すGDPを確認する際には物価の変化率に注意する必要があります。GDPの金額が増えたとしても、それが人口の増加や生産性の向上を伴わない、単にインフレの影響によるものであれば、真に経済が成長しているとはいえないからです。物価の変化を加味しない、実際に市場で取引されている価格で計算するGDPの値を「名目GDP」、物価の変化を加味し、その影響を取り除いたGDPの値を「実質GDP」といいます。たとえば、人口や1人あたりGDPは変化せず、物価だけが前年比1.5倍になったとします。このとき名目GDPは前年比1.5倍になりますが、実質GDPは変化しません。一般的に経済成長率は実質GDPを用いて示すことが多く、名目GDPから実質GDPを算出する際に用いられる物価指数を「GDPデフレーター」といいます(図表3)。GDPデフレーターがプラスであれば、名目GDPは実質GDPを上回っており、インフレの状況を示します。逆にマイナスであれば、名目GDPは実質GDPを下回っており、デフレの状況を示します。同じく物価の変化率を示すCPI(消費者物価指数)との違いについては図表4をご参考ください。


図表3:GDP デフレーター




図表4: CPI 消費者物価指数 と GDP デフレーター





■重要な経済用語⑤「三面等価の原則」


国全体の経済規模を把握するGDPは経済規模を生産面からみた値となりますが、分配面(所得)や支出面(需要)からも同様の計算をすることができ、前者をGDI (Gross Domestic Income、国内総所得)、後者をGDE注2(Gross Domestic Expenditure、国内総支出)といいます。GDP、GDI、GDEのそれぞれの値は名目ベースでイコールの関係が成り立つと考えられ、経済学ではこの関係性を「三面等価の原則」とよびます(図表5)。一国内で生産された付加価値は、その生産過程に参加した家計(労働者)や企業に所得として分配されます。そしてその分配された所得を支出し、モノやサービスを消費します。図表1をもう一度参照すると、ここで生み出された付加価値の合計額9,000は漁師、魚屋、定食屋のそれぞれの人件費、会社の利益や税金等の合計額とイコールになり(GDI) 、最終的な魚の消費合計額ともイコールになります(GDE)。

注2:内閣府の公表データではGDP(支出側)と表記されます。

図表5:三面等価の原則


 






 

 



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