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分散投資実践編⑪ ~アセット・アロケーション・ファンドの優位点~
2023/08/30

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概要

分散投資を行う手段として、プロが機動的に資産配分を行う点、資産配分変更の際に課税関係が発生しない点においてアセット・アロケーション・ファンドの活用が有効だといえます。





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■  分散投資の手段としてのアセット・アロケーション・ファンド

今回は分散投資を行う際の手段としてアセット・アロケーション・ファンド(資産複合型の投資信託)を活用することの有効性をご説明いたします。一般的に、個人投資家が投資信託を通じて分散投資を行う場合、①投資家自身が複数の異なるアセットクラスのファンドを組合せて分散投資ポートフォリオを構築するケースと、②アセット・アロケーション・ファンドを活用し、ファンドの運用者に分散投資ポートフォリオの構築を任せるケースが想定できます。


①の場合、投資家が自由にファンドを選んでポートフォリオを構築することができます。しかし、効果的な分散投資を行うためには時間と手間のかかる作業を行わなければなりません。例えば、基礎的な資産配分(アセット・アロケーション)の決定に加え、運用期間中のアロケーションの変更も自身で行う必要があります。また、そのためには市場環境や資産間の相関の変化などの調査・分析も欠かせません。このように個人投資家をはじめとした多くの投資家にとって、一から分散投資ポートフォリオを構築することはかなり骨の折れる作業であるといえます。これに加えて、投資家自身がアロケーションを調整する場合、投資しているファンドの売買に伴う費用や、売却益にかかる税金の影響を考慮する必要があります。一方で、②を活用すれば、アセット・アロケーションに伴う多くの手間とコストを省くことができます。なぜなら、多くのアセット・アロケーション・ファンドの運用は、綿密な運用を行うために必要なインフラが整った環境で、投資のプロフェッショナルであるファンドマネージャーが行っているためです。また、まとまった資金で運用するため取引コストを抑えることが可能であり、かつファンド内でアロケーションの調整を行うことで課税を繰り延べることもでき、運用効率の改善が期待できます。ではファンド内でアロケーションの調整を行うことで運用効率の改善が期待できる点について、より具体的に見てきましょう。


図表1は、100万円を投資した株式ファンドの評価金額が保有開始から1年で120万円になり、アロケーションの調整のためにこのファンドを全額売却し、その代金で新たに債券ファンドを購入するケースを、上記の①と②に分けて示しています。①においては、値上がり分である20万円の利益に対して20%課税されるため、4万円の税金が差し引かれ、債券ファンドへの投資金額は116万円となります。一方、②においては、ファンド内の売却に伴う課税は投資家がファンド自体を売却するまで繰り延べされるため、売却金額の120万円を全額債券ファンドに投資することができます。今回のケースでは、①と②で債券ファンドへの投資金額に4万円もの差が出ました。このように分散投資を行う手段として、プロが機動的に資産配分を行う点、資産配分変更の際、課税関係が発生しない点においてアセット・アロケーション・ファンドの活用が有効だと考えます。


図表1 :アロケーション調整を自分で行った場合とファンド内で行った場合のイメージ
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